【感想】「完全教祖マニュアル」を読んで教祖になることを決めた

 

 

富、名声、権力

 

あなたはこの中でどれが欲しいか?

 

僕は...

 

 

全部欲しい!

 

 

でもどうやったら手に入るんだろうか

 

働いて得られる金には限界があるし政治家になるのは大変そうだし

 

あとどうせなら人を幸せにしたいよね

 

そんな都合のいい仕事なんて

 

 

...ん?あるじゃん!

 

 

教祖じゃん!

 

 

そうだ、教祖になろう!

 

 

信者も救えるしみんなHAPPY!!!

 

 

 

というのがこの”完全教祖マニュアル”のテーマです。

 

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この本は数ある宗教書の中で珍しく、教祖になるための方法を手取り足取り教えてくれます。

 

 

 

 

 

教祖とは人をHAPPYにするもので、世間一般にもたれてる胡散臭いとか洗脳してくるとかいった悪いイメージなんてないんですよ〜。だからみなさんも教祖になって信者を増やしてバカ儲けしてみんなをHAPPYにしましょうね〜と言った具合です。

 

 

そして信者を獲得するために大切なものは、第一に反社会的であることだと説いています。現在の社会に馴染めず、弱者を救えるような教義を作れば、信者ができるというのです。

 

また、信者獲得のためには、今現在困っている人に迎合しなくてはならず、実際にピンチの人は来世のご利益なんか言われてもそんなの知ったこっちゃねえよ今の俺を助けてくれや。と言うに決まっています。そのため、現世利益を必ず謳うことが必要であることなどを説いています。

 

他にもあなたが起こす新興宗教に必要なものは

困っている頭の悪い人でもわかるような小学生でも理解して実行できる教えがあるか

なんとなくイケてる哲学はあるか

みんなでワイワイ楽しむイベントは用意してるか

などなど。

しかもあなたは教義をくそまじめに考える必要なんかなく、とりあえず現世に不満のあるインテリを抱き込み、彼に適当な話をしろと言っています。なぜならインテリは頭がいいから勝手に話を解釈し、論理的な哲学を勝手に作り上げ、みんなに吹聴してくれるから

他にも信者があっと驚くような奇跡を起こそうだとか、みんなをたまには不安にして信仰心をアツアツに保とうだとか書いてあり、非常に面白いです。

 

特に僕が納得したのは、教義を適当に科学に結びつけろ。だって一般大衆なんて科学のことなんか何にも知らないもんね。というところです。

 

もちろん、科学的体裁を取れば、批判的精神を持ったインテリが科学的に反論してくることもあるでしょう。しかし一般人は見たいものしか見ないので関係ありません。

 

たとえばインターネットの検索システムを考えてください。「うちの子がゲームばっかりで困るわぁ」と言うお母さんがネットを見て、「ゲーム脳の恐怖」の教義を布教しているページを見つけたとします。

 

お母さんは「なるほどねえ。やっぱりゲームって危ないのね。科学的に証明されてるんだわ」と納得します。

ここでお母さんが「ゲーム脳の恐怖に対する科学的反論記事」を検索するでしょうか?

いいえ、しません。

最初の記事を見た時点で、お母さんが必要な情報は得られているからです。

また、お母さんのお友達はゲーム脳の話を聞いて、「変な話だなあ?」と思うかもしれんが、お母さんの機嫌を損ねるリスクを犯してまで無理に反論しようともしないでしょう。

結局、お母さんがエセ科学に気付く可能性は低いのです。

(完全教祖マニュアル p.123)

 

つまりちょっと科学かじったことあればおかしくね??って思うことも一般ピーポーは気づかずに信じてくれるから気にすんなってことですね。マイナスイオンとか水素水もこの類のものでしょう。

 

 

さらにこの本は悟りのためのヒントも教えてくれます。

 

「そんな悟りでも良いから一応ひらいときたい」という物好きな人のためにもう少し説明しますと、先にも述べた通り、悟りは物理的にどうこうという類のものではないようです。つまり精神的な現象だと考えて下さい。悟りはあなたの「頭の中だけで」起こる現象です。筆者にもよく分かりませんけど、そうなると、もうこう考えるしかないですよね。悟りというのは要するに、「あなたの脳みそがどうにかなった弾みで起こる現象」なんだと。乱暴に言えば脳みその錯覚現象です(まあ、悟った人に言わせれば我々の通常の脳みその働きの方が錯覚なわけですが)。
そして、そう考えるなら話は簡単です。つまり、あなたはこの錯覚を起こせば良いわけです。では、どうすればその錯覚を起こせるかというと、たとえば、禅ではこのような修行をしています。

 

老師が杖を掲げて、「さあ、これはなんだ。言ってみろ」と言うのです。
しかし、「ジジイ、ついにボケたか」と思い、ホイホイと「杖です」などと答えれば杖でブン殴られます。だからといって、「杖じゃない」と答えてもやはり杖でブン殴られはすし、困って黙っててるやっぱりブン殴られます。

 

禅は実にバイオレンスですね。
これがいわゆる禅問答という、やつです。
・・・と、
このような問答を繰り返していく内に、
禅者はあるとき不意に「悟り」と言う状態になるのだそうです。正直、ボコボコ殴られたせいで頭がどうにかなって悟ってるんじゃないかと思わずにいれれないのですが、とにかくこれで悟れるのだそうです。

(完全教祖マニュアル p.128)

 

 

だそうです。

 

とりあえずひっぱたかれまくるか、酒でも飲んでフラッフラになればなんやかんやで悟れると言うことでしょう。

 

ここまで読むとなんだこの本はふざけてんのかと言われてしまいそうですが、ちゃんと宗教についてもわかりやすく解説してくれます。

 

たとえば三位一体については

 

正統思想によると、イエスは「完全なる神」であり、同時に「完全なる人間」ということになっています。「完全なる人間」というのは、つまり,私たちと何ら変わらない、普通の人間でもあるということです。

 

よくアイドルのファンは、「00ちゃんはうんこしない!」などと言いま
すが、イエスは「完全な人間」ですからうんこします。クリスチャンはいくらイエスを崇めていても、イエスがうんこをすることは否定しません。「いやよ! イエス様がうんこするなんて、あたし絶対認めないわ!」となったら、これは「仮現論」と呼ばれ、異端思想です。

 

仮現論はイエスに神性しか認めない立場のことで、イエスには実は人間の要素はなかったのだから、十字架に架けられた時だって本当はへっちゃらでした、だって神だもんね、という考え方です。

 

しかし、これは異端ですから、ちゃんとイエスの中には人性があって、「ウギャー」と苦しんで十字架で死んだと考えなければいけないのです。そういうものなんです。

(完全教祖マニュアル p.170)

 

 

わかりやすいでしょう。

 

こんな感じでちゃんといろんな宗教の説明もあり、それらの伝統ある大きな宗教から抽出した、成功する教祖の条件をまとめてくれています。

 

他にも非課税だからバンバンお金を集めよう。信者はお金を払うことで特別感を得られるから喜んでしてくれるよ〜とか、バンバン出版して印税でバンバン稼ごう!だって信者がバンバン買ってくれるもん!だとか教祖になってウハウハするためのノウハウがもれなく書いてあります。

 

最後は宗教を国教化し、歴史に名を刻むためのプロセスまで解説してあり、これで皆さんも歴史に名を刻むこと間違いなしです。

 

僕もこの本を活用して信者を集め、フォロワー100万人を達成したいと思います。

 

教祖にならずとも、人望が欲しいとか、尊敬されたいと思っている人には超おすすめです。そこらへんにあるリーダーシップがどったらこったら長ったらしく書いてる自己啓発本より面白いと思いますのでぜひ。

 

 

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

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