意識高い系中島diary

都内在住。意識高い系大学生の見聞録。Twitter ID @Nakajima_IT_bot

大切なことは全てジブリから学んだ僕が「猫の恩返し」を語る

 

 

僕はジブリで義務教育を終えた。そう。大切なことは全てジブリから学び、僕は大人になった。

 

そして今日もまた、金曜ロードショーでジブリ作品が放送された。

 

 

 

猫の恩返しはスタジオジブリ作品の中でも異質の作品である。

 

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まず監督を外部に依頼しているという点でこれまでのジブリ作品とは大きく異なっている。

 

猫の恩返しが公開されたのは2002年。
1997年にはもののけ姫が公開され、2001年には千と千尋の神隠しが公開。空前絶後の大ヒットを記録した。

 

 

 

スタジオジブリは千と千尋の製作に力を入れ、猫の恩返しの方は人手が足りない状態になっていた。


そこで宮崎駿は、当時の三鷹の森ジブリ美術館の短編作品「コロの大さんぽ」の原画を担当していた森田宏幸氏に原作漫画のラフ原稿を渡し、

「これやる?やるって言いなさい。男の子らしく」

と強引に迫り、猫の恩返しの監督を押し付けたというのだから驚きだ。

 

 

さてそんな異例の経緯を持つの猫の恩返しだが、興行は大成功。前年の千と千尋が大ヒットを収めたため、続く猫の恩返しにも期待が大きかった。

 

 


スタジオジブリの関係者が登場するギブリーズ episode 2というめちゃめちゃ知名度の低い短編映画との同時上映ではあったが、猫の恩返しは売れた。

 

 


千と千尋の興行収入が308億円、ハウルの動く城は196億円、もののけ姫は193億円。それらに比べれば物足りない数字ではあるが、猫の恩返しは 64.6億円の興行収入を記録した。

 

この2002年は、前年12月にハリーポッターと賢者の石が公開され、3月にはモンスターズインク、ロードオブザリング、そして春にはスパイダーマン、スターウォーズまで公開された洋画が恐ろしく強い年だった。

 


ちなみに僕の大好きなアイアムサムもこの年に日本で公開された。

 

www.nakajima-it.com

 

洋画に押されつつも、猫の恩返しは2002年の邦画部門では興行収入1位を記録。洋画も含めたランキングでは7位だった。間違いなくヒットしたと言えよう。

 

 

 

しかしこの作品がスタジオジブリらしいかといえば少し違うと思う。
そもそも監督を外部から引き抜いてきたということもある。
絵の雰囲気からしても今までのような素朴な顔ではなく、目が大きく髪色も色々な人物が登場しする。

 

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猫の描写も猫そのものに寄せたというよりは、可愛らしいぬいぐるみのような猫に近い。

 


話の内容もこれまでのジブリ作品にはない、現代からファンタジーの世界へ飛び込むという内容だった。


無論、千と千尋の神隠しで、小学生の千尋が神々の住む世界に迷い込み、こちらも確かにファンタジーではあるが、かなり厳しい現実的な世界であった。

一方、猫の国はどちらかといえば夢のあるのんびりとした国だった。
そんなのほほんとしたタッチで描かれるストーリーはこれまでの作品にはなかなか見られなかった傾向だ。

 


原作は「バロン 猫の男爵」という少女漫画。実は作者の柊あおいさんは耳をすませばの原作の漫画も書いている。

 

バロン?猫の男爵?(1)

バロン?猫の男爵?(1)

 

 

耳をすませば (集英社文庫―コミック版)

耳をすませば (集英社文庫―コミック版)

 

 


そして耳をすませばに登場してくる雫が書いた作品が猫の恩返しという設定もある。続編は作らないというスタンスを貫いてきたジブリが試みた唯一の続編に相当する作品なのだ。

 

 

 

ただ一度も耳をすませばの登場人物が直接出てきたことはないため続編と位置づけるにはかなり怪しくはあるが。

 

 

 

そんなもののけ姫や、千と千尋と比べればゆるい感じでファンタジーの世界を描いた猫の恩返しだが、僕にはとても大好きなセリフがある。

 

イケメンな猫の探偵バロン男爵が入った


「君は君の時間を生きるんだ」


というセリフである。

 


猫の恩返しに登場するハルは平凡な女子高生。好きな男子には彼女がいたり、学校があるのに寝坊してしまったり、退屈な学校生活を送っている。


そんな中、助けた猫に連れられてやって来た不思議な猫の国。日がな一日ゴロゴロしたり、美味しいものをいっぱい食べて昼寝もしていられる。嫌なことも全部忘れられる、そんな夢のような国だった。


しかし心が猫になりたいと思うにつれ、ハルには耳が生えたり髭が生えたりし本当の猫に近づいてしまう。

 

 

 

自分の気持ちを見失ったハルに対し言ったバロンのセリフが先ほど紹介した「君は君の時間を生きるんだ」と言うセリフだ。

 

 

以前の記事でも紹介したが、僕はスタジオジブリ作品は「生きる」という痛烈なメッセージを僕らに伝えていると思っている。従来のジブリ作品とは少し趣が異なった猫の恩返しではあるか、やはり生きるというメッセージ性はこの作品にも込められていると感じた。

 

 

 

前作の千と千尋の神隠しでは平凡な少女が神々の世界に迷い込み、豚にされた両親を助けるため幾多の困難を乗り越え成長する様が描かれた。


対して猫の恩返しでは、実は物語が終わってもハル自身の成長というものはあまりないと僕は思っている。猫の国に行き猫になりかけたハルだが、自力でその窮地を脱したわけではない。バロンやムタに助けられ、何とか脱出できたという程度だ。


そして最後みんなで手を繋いで空から落ちる場面でも

 

ひょっとして 私達?

カッコイイかもー!

 

なんてのんきなことを言っている。それはそれでハルらしいけどね。

 


これは、意地悪な湯婆婆のもとで注文が多かったり臭かったりする客の風呂当番をこなし、まもなく食用に切り刻まれ食べられてしまう豚になった両親を助けるため奔走した千尋と比べれば何とも頼りない。

 

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ただこれもこの作品のいいところだ。このゆるさが一貫して描かれており、本当はちょっと怖い猫になっても戻れなくなるという設定も、いい感じで中和されている。

 

 

 

何より出てくる猫が可愛い。 その可愛さと緩さもあり、トトロとまではいかないがちびっこにも人気があり、耳をすませばとまではいかないが10代にも人気のある作品だ。

このちょうど良さがうまくはまったんだと思う。

 

さて話を戻そう、この「自分の時間を生きる」という言葉にこそ、この作品のメッセージが込められていると僕は思う。

 

どこにでもいる平凡な女子高生のハルは、退屈さを感じながら学校生活を送っている。そこには彼女の意思というものはない。ただ周りに流され楽な方、楽な方へ行ってしまうのが人の性だ。そんななか訪れた天国のような猫の国での暮らし。現実より快適で楽しい、そんな生活をこの先もしたいと思うのはもっともだ。

 

しかしそんなうまい話があるはずがない。天国のような暮らしを享受するには人間を辞め猫になるというあまりにも大きな代償が伴っていた。 人間と猫とを天秤にかけることすら考えられないハルに、バロンはハル自身に自分の頭で考えるよう伝えたのだろう。


幸いハルはこの国で猫になって暮らすわけにはいかないと目を覚まし、バロンとムタの手を借りてではあるがなんとか最後は猫の国を脱出した。


この快適な現代で楽な方楽な方へ流され生きるのも分かる。

がしかし、自分の意思を持って行動した方がいいんじゃない?

というようなメッセージ性を感じた。


ただ他の作品よりかは生きろというメッセージ性は強くないだろう。それもこの作品のいいところだと思う。

 


さて、平成最後の夏もいよいよ終わりが近づいている。今一度自分のやりたいことを見つめ直し、自分の時間を生きようとそう思った金曜ロードショーだった。

 

 

 

 

<参考記事>

www.nakajima-it.com

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