「ケーキの切れない非行少年たち」を読んで中学時代を思い出した

 

 

 

 

1. ケーキの切れない非行少年たち 

たびたび僕はブログ内で、地元の治安が悪かったという話を書いている。

 

トイレでタバコを吸ってる人がいたり、窃盗や暴行で捕まったり、クスリで鑑別所に送られたり。

 

「ケーキの切れない非行少年たち」は、実際に非行を犯して施設に送られた少年たちに著者が向き合い、彼らがなぜ非行に走るのか、どうすれば防げるのかを、実体験を元に綴った一冊である。

 

ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)

ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)

 

 

僕の地元のクラスメイトの中には、本書に出てくるような非行少年が何人もいた。

 

今では更生して働いてる人もいるが、なかには昔と同じように犯罪に手を染め、夕方の全国区のニュースを見ていると同級生の名前が出てきたりする。何の気なしにみていたテレビやTwitterに急に知り合いの名前が、よくない話題で登場すると本当にびっくりする。

 

小中学校時代、僕にとって彼らは「理解することができない存在」だった。

 

 

 

なぜ盗んだら犯罪になるのに、たかが数百円のものを万引きするのか。

人を殴ったらいけないのに、どうして血が出るまでタコ殴りにするのか。

なぜ成長に悪影響を及ぼし法律で禁じられているのに、薬物に手を出すのか。

 

僕には彼らの行動が理解できなかった。

 

しかし今思い返してみると、「理解できない」の一言で済まして、「理解しようとしていなかった」のかもしれない。

 

「ケーキの切れない非行少年たち」では、かなり衝撃的な事例が取り上げられている。

 

タイトルにもあるように、ケーキを3等分してくださいといった簡単な課題に、非行少年たちはこのような回答を示す。

 

 

 

 

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 同様に上の図を書き写してくださいという課題に対しても、こんな回答をしたそうだ。

 

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あくまで一例に過ぎないが、著者はこう述べる。

 

「世の中のこと全てが歪んで見えている可能性がある」と。

 

 

非行に走る少年の多くは、認知機能に問題がある場合が多いらしい。

 

上記のように図形を把握できないことから始まり

 

形がわからない

字が覚えられない

文章が読めない

勉強についていけない

学校がつまらなくなり非行に走る

 

と言った流れをたどるケースも多いのだそうだ。

 

先日こんなツイートが話題になった。

 

 

 

僕もこれと同じテストを地元の公立小学校で受けていた。出生ガチャという言葉は嫌いだが、確かに後々非行に走っていた友人は、小学校低学年のときにやらされたこのテストでつまづいていたように思える。僕らにとっては当たり前に解ける問題でも、人によっては解くことができない。

 

著者は現在の学校教育で、そのような児童に対して「勉強不足」「やる気がない」などのレッテルが貼られ、根本的な認知力に対して目が向けられ適切な処置が施されることがないため、非行に走ってしまうと主張している。

 

実際に施設で彼らに丁寧に指導をすると、学ぶことの楽しさに気づき、もっと勉強したいと意欲的になる少年も多いのだそうだ。

 

 

 

 2. 昔を思い出してみると

そして家庭環境もやはり非行と関係性があり、法務総合研究所が2001年に行った調査によると、少年院在院者約2300名のうち、約半数の子どもに虐待の被害体験があったそうだ。

 

実際、先ほど触れた夕方のニュースに出ていた知人は、父子家庭で育ち、父親からはクレジットカードだけ渡され、それで食べ物を買って基本一人で生活しているという話を、小学校時代に聞いていた。

 

他にも中学校時代に、あまり授業に来なくなったクラスメイトの家を訪ねたことがあったのだが、大変ショッキングな光景が広がっていた。

 

親に無理やり髪を金髪に染められ、ナメられたら終わりだからイカつくしろと眉毛も剃っていたクラスメイト。彼をAと呼ぶことにする。

 

そのとき一緒に家を訪ねた別のクラスメイトBは面白がってからかっていた。このBも学校で暴力をふるったりとかなり問題のある少年だった。

 

僕はかなりショックだった。そのあと、思春期まっただ中ということもあり、一緒に訪ねた以前からAと親交のあるBが「あれ見せろよ」と言い出すと、その不登校のAは机から成人向け雑誌を取り出した。

 

Aは「お父さんがくれる」と言ってた。

 

そんなものを息子にあげる神経が理解できず、僕は衝撃を受けた。

 

すると、他にも何かあるだとと、 BがAの両親の寝室を漁り出した。Bはパチスロ雑誌や刺激の強い成人向け雑誌を棚から勝手に引っ張り出しては面白がっていた。

 

 

Aの家庭環境に絶句したのもそうだが、Bのあまりに分別のない行動に、中学二年生だった僕は衝撃を受けた。

 

その後Aは完全に学校には来なくなり、万引きで何度も警察の世話になっているという話を聞いた。

 

 

そしてBは工業高校に進学するも1年で中退し、18歳で結婚し、20歳の時点で二人の子どもがいたが、21歳で離婚した。

 

他にも身近な事例は数多くあるが、今思い返してみると、Aは虐待を受けていたんだなと思える事例が多くある。この本を読むまでは「非行をする奴はみんな悪い。自己責任だ。」と思っていたが、決して個人の問題ではなく、環境や教育で未然に防げるのではないかと感じた。

 

 

 

 

3. 僕に何ができるのか

地元の公立小中学校を卒業し、第一志望の高校に入り、僕は現在大学に通っている。周りを見渡すと、都内の名門中高一貫校を卒業した友達ばかりで、僕の生まれ育った地元とは住む世界が違うと感じることが多い。

 

僕自身、昔の嫌なことは思い出さなくなり、地元の友達とはほとんど連絡を取っていない。

 

僕の頃と比べると、地元の治安は良くなりだいぶ非行は少なくなったらしいのだが、いまだに夜公園の前を通り過ぎると、明らかに中学生と思われる集団がタバコを吸ってお酒を飲んでいたりする。

 

「ケーキの切れない非行少年たち」を読んで、非行に走ってしまう原因は決して個人だけでなく、自分ではどうしようもできない生まれつきのものや環境にあることに気がつかされた。

 

ただこの本を読んで、どんなアクションを起こすべきかを問われると、答えに詰まる。

 

やっぱり悪いことをしている人をみると、何してんだしっかりしろよと思うし、、自分が嫌な思いをして「彼がこんなことをするのは環境のせいなんだ仕方ない」とは思えない。それは無理だ。「ふざけんな早く捕まれよ」と思う。

 

 

本書では1日5分で良いから効果が証明されている認知力を高める教育法を学校の授業に取り入れることでたくさんの子どもが救われる、とまとめてある。

 

そのような1日5分で認知力を高める活動が教育の世界に広がっていけば徐々に非行も減っていくのかもしれない。

 

ただ僕に何ができるかと問われると、何もできないというのが本音だ。

 

いざ被害を受ける側になったら彼らに理解を示すのはきっと無理だ。どうしても「責任を取れ」と、彼らの背景には目を向けることなく怒りをぶちまけてしまうと思う。

 

「ケーキの切れない非行少年たち」は学びも多いとともに、非常に考えさせられる一冊だった。

 

ここで取り上げた以外にも「自分は優しいと話す殺人少年」や「小児愛好」がやめられない少年など、ショッキングな内容が数多くい取り上げられています。

 

興味の持った方はぜひ読んでみてください。

 

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