男子校生活の光と闇

 

先日インスタでこんな質問をもらった。

 

質問者の方は男子校に入ったために人生が狂ってしまったらしい。そこで今回は僕の男子校に対する思いを書いていくことにしよう。

僕は高校から男子校に入った。高校受験の際、どうしても男子校に行きたくて別学を選んだ。というのも、中学校までの女子の世界があまりにも怖すぎて、こんなくだらないものにずっと構ってられるかと思ったからだ。僕の地元は治安が悪く、小中学校は荒れていた。荒れた学校では不良の男子が踏ん反りかえっているのはもちろんのことがだ、一方で女子の争いもある。誰が誰を好きだだの、浮気しただの、あいつを仲間外れにしようだの、本当にくだらないイザコザが毎日起きていた。当時の僕にとって中学校の女子たちはどう頑張っても分かり合えない存在だった。四六時中、ハタから見たらどうでもいい些細なことで怒ったり泣いたり、喜んだり、とても忙しそうだった。こんなよく分からない人たちと高校でまで関わりたくないなと思い、僕は男子校を受験した。

もちろん男子校であればどこでも良いわけではなく、勉強を頑張りたかったので地域で一番偏差値の高い男子校を受験した。ギリギリの成績でどうにか合格し、僕は晴れて高校生になった。そして入学してすぐ、とんでもない環境に飛び込んだことを思い知った。周りの人全員が僕より遥かに頭がいいのだ。治安の悪い地元では一番勉強ができたのだが、いざ高校に入ると井の中の蛙だったことを思い知らされた。模試で全国一位だったり、サッカーで全国大会に行ってたり、帰国子女で英語がペラペラだったり。とんでもねえヤツらがいっぱいいた。ただ、僕はそれが嬉しかった。やっと勉強しても部活を頑張ってもバカにされない環境を手に入れたのだ。それまでの小中学校は、勉強すること=カッコ悪いと思ってる人たちばかりで、いつもバカにされていた。休み時間に本を読んでいれば異端扱いされ、好きなことも自由にできなかった。僕は野球部で部長を務め、地域の選抜チームにも選ばれていたので運動もできる奴という扱いはされていたのでそこまでバカにされなかったが、それでもかなり理不尽な環境だった。頑張ることはダサいのかと、毎日やるせない気持ちでいた。

でも高校に入った今、頑張ることをバカにする人は誰もいない。それぞれが高みを目指し、自分の好きなことに打ち込む姿勢を讃え合う環境がそこにはあった。僕は生まれて初めて自分の居場所を見つけられた気がした。

それからの男子校生活はとんでもなく楽しく、とんでもなくハードだった。僕はドMなのでキツい環境で頑張りたいと思っていたので、かなりハードな水泳部に入った。今まで打ち込んでた野球から離れ、新しいスポーツに挑戦した。水泳は小学校の頃習っていた程度だったが、部活ではインターハイに出るような熟練者も初心者も関係なく同じメニューをこなした。1日に10km以上泳ぐこともざらにあり、毎日授業中は疲れ切って爆睡していた。朝練がある日は朝4時に起き、寒いプールに向かった。部活がしんどいからといって勉強を頑張れない理由にはならない。どんなに部活が終わるのが遅くとも、必ずスキマ時間で予習復習をするようにした。最初は成績がかなり下の方だったが、学年が上がるにつれテストの順位も伸びていった。

他にも文化祭もかなり有名で、学年問わず本気で準備をした。文化祭は1年間で唯一女子が学校に来るチャンスと言うことで、友達と一緒にナンパをしたこともあった。何人か仲良くなった人もいて、高校生らしい青春もできた。残念ながら現役では数学で0点を取って東大に落ち、一浪したものの5点足りずまた東大に落ちたが、後悔はない。

結論を言うと、僕の男子校生活はとんでもなく楽しいものだった。あの男子校時代があったからこそ今がある。生まれて初めてどんなに頑張っても敵わない才能の持ち主がこの世にはゴロゴロいるのを思い知らせてくれたのも、どんなに忙しくても逃げずにコツコツ継続し続ければ結果は必ずついてくることを教えてくれたのも、男子校の3年間だった。間違いなく僕の人生を変えてくれた時間だった。

ただ一方で、それが男子校のおかげだったのかと思う人もいるかもしれない。今まで話してきたことは、男子校じゃなくても叶ったのではないか。共学でも勉強ができる人が集まる学校に行けば、頑張ることを認め合える仲間に出会えたかもしれないし、部活も文化祭も同じように楽しめたのではないか。

確かにそうかもしれない。レベルの高い人たちが集まる高校はもちろん共学にもある。僕は共学の高校に通ったことがないので確かなことは言えない。それでもあの3年間をかけがえのない時間にしてくれたのは、男しかいない男子校と言う特殊な環境のおかげだったと思う。

男子校の魅力の一つは、良くも悪くも女子の目が無いことにあると思う。誰も学校の中でモテようとしないので、変なプライドがない。女子の前でカッコつけたり、友達をこき下ろして自分が目立とうとしたり、余計な見栄を張る人がいない。そのような環境だからこそ僕たちは好きなことに打ち込んで来れたし、互いを讃え合ってきた。でもこれを意識していたのは入学して1ヶ月くらいのことで、それ以降は男しかいない環境が当然のものになってくるので、共学と比較して何が良いかなんて考えることすらなかった。制服の決まりもなかったのでみんな自由な格好で登校し、部活も勉強も自由に好きなだけ打ち込む生活を繰り返していた。もし共学だったら女子にモテようと服装を気にしたり、文化祭の準備期間に気になるあの子と急接近なんてイベントがあったのかもしれないけど、それがないことに特別悔しいと言う感情を持ったことはなかった。男だけで人目を気にせずワイワイしていた時間が何よりも楽しかったからだ。

ただ一方で良くない点として、二つほど挙げられると思う。一つ目は女子に対する免疫がつかない人は本当につかないことだ。先ほど文化祭が唯一の女子との出会いの場と書いたが、ここでチャンスをものにできないと女子とロクに話したことがないまま大学に入ることになる。僕の周りには彼女はおろか、ロクに女子と話すことがないまま大学を卒業した友達がたくさんいる。彼ら曰く、彼女が欲しい気持ちはあるのだが、一体どう関係を深めていけば良いかさっぱり分からないらしい。サークルの友達をご飯に誘ったら変な噂が立つんじゃないか、待っていればいつの日か向こうから告白してくれるんじゃないかと、恋愛偏差値30の相談を真面目にしてくる。恋愛となると本がまるまる一冊書けてしまうのでもうこれ以上書かないが、彼らの非モテは申告だ。少なくとも共学で強制的に女子と一緒になっていればこの悲惨な現状を免れることはできたのかもしれない。ただ共学出身でも同じくらいの非モテな人もたくさんいるので一概には言えない。大切なのは環境よりも本人の意識次第だろう。

そして二点目。個人的にかなり厄介だと思っていることがある。それは男子校生活があまりにも楽しすぎることだ。楽しいならいいじゃんと思うかもしれないが、これが厄介なのだ。僕の高校の友達には今でも高校時代に戻りたいと話す人がたくさんいる。大学はつまらない、高校のときのように、男だけで勉強も部活も全力で楽しんでた時代に戻りたいと、彼らはそう語る。刺激がないのだ。今の生活に。死ぬ気で頑張らなくてもどうにかなってしまうテスト、一緒に楽しんではいても心の底から笑い合ってはいないサークルや部活の友達、将来のビジョンもないのに堅苦しいスーツを来て向かわなければいけない就活。つまらないのだ、全てが。そして彼らは懐かしむ。あの頃は良かったと。

分かる。その気持ちはよく分かる。でも、カッコ悪いと僕は思う。時間は絶対過去には戻らない。いくら戻りたいと願っても戻ることはない。叶いもしないことを願うことほど無駄なことはない。どう頑張っても過去に戻れないなら今を全力で楽しむしかない。大学に入って1ヶ月目くらいに高校時代に戻りたいと愚痴をこぼすのは分かるが、3年4年たった今でも昔を懐かしむのは情けないと僕は思う。確かにあの3年間は楽しかったけど、戻りたいとは僕は思わない。

男子校生活はすでに終わったのだ。美しい思い出として心の中にしまっておくだけでいい。年に二回くらい集まって、近況を報告し合って楽しくお酒を呑み交わすくらいでいい。いい歳こいて「あの頃に戻りてえなあ」なんてビールを飲むのは、ダサい。今が楽しくないのは自分のせいだ。周りのせいじゃない。大学、社会人とステージを上がっていけば、環境が変わるのは当たり前だ。それに適応していく人間は生き残る、できなければ置いていかれる。ただそれだけ。いつまでも過去にすがってる暇があったら、今が楽しくなるように行動すればいい。僕はそう思っている。

熱く語ってしまったが、あの男子校の3年間は確実に僕を変えてくれた。母校に入らなければ今の僕はない。勉強だけじゃなく、スポーツもイベントも全力で取り組む変な仲間たちに出会い、僕も自由に好きなことに打ち込む勇気をもらった。ただ過去には戻れない。あの時間が楽しかったのも分かるが、過去は過去だ。綺麗な思い出として心の奥にしまっておこう。そして前を向いて今を楽しもう。僕からは以上だ。

 

 

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