北朝鮮に行ってきた大学生にリアルな北朝鮮を聞いてきた

 

皆さんは北朝鮮と聞くと何を思い浮かべるだろうか。

『ミサイル』『金正恩』『独裁』『危険』

などなどマイナスなことを思い浮かべる人も多いかもしれない。

 

そんな謎多き北朝鮮に実際に足を運び、本物の北朝鮮をその目で見てきた現役慶應生AKIさんにインタビューをしてきた。小さい頃から北朝鮮に興味があったというAKIさん。知られざる北朝鮮の姿に迫ります。

 

 

1. 北朝鮮ってどうやって行くの?

 

意識高い系中島
“こんにちは!いつもイベントでもプレゼンしてくれてありがとうございます。さっそくですが、なぜAKIくんは北朝鮮に興味を持ったのでしょうか?“
AKIくん
“小さい頃からミサイルのニュースなどを見て、この北朝鮮という国は一体何なんだろうと関心を持っていました。あと独裁にも興味があったんです。大学では北朝鮮の政治に詳しい磯﨑敦仁先生の授業をとっていて、より深く北朝鮮について学んでいます。“

 

北朝鮮国歌についてプレゼンしてくれたAKIさん

 

意識高い系中島
“なるほど。実際に北朝鮮に足を運んだAKIさんですが、どうやったら北朝鮮に行けるんですか?僕たちからすると全く見当もつかなくて。“
AKIくん
“実は北朝鮮ツアーっていうのがあるんです。“
意識高い系中島
“北朝鮮ツアー!?!?“
AKIくん
“中国のKoryoToursっていう旅行サイトがあって、そこから誰でも申し込むことができます。今回は高校の友達と行きました。予約が全て英語で大変ですが、頑張れば誰でも手配できます。“

 

Koryo Toursのホームページ。カオス。

 

意識高い系中島
“ホームページめっちゃカオスだな。これまで北朝鮮にずっと関心があったAKIさんですが、なぜ今回行こうと決めたんですか?“
AKIくん
“実は今まで『行ったことはないけど見たことはある』って状態だったんです。“
意識高い系中島
行ったことはないけど見たことはある!?!?
AKIくん
“はい。北朝鮮と韓国の国境付近まで行ったことがあります。韓国・ソウルから日帰りで行けるツアーで、国境付近まで行って双眼鏡で北朝鮮を見ました。国旗や金日成の銅像が見えて、人が動いてるのも分かりました。大変興味深かったです。“
AKIくん
“今回改めて実際に行こうと思ったのは友人に誘われたのと、今後の自分の研究の関心を高めるのにいいタイミングだと思ったからです。今までは自分のお金が北朝鮮のミサイル代になるのが嫌だったんですね。
意識高い系中島
“北朝鮮のミサイル代...確かにそういうことになりますね。実際にKoryoToursで北朝鮮観光を申し込んで、トラブルなく無事に北朝鮮に辿り着けましたか?“

 

 

AKIくん
トラブルだらけでした。最初は北京から平壌までの直通便に乗るはずだったんですが、まず時間が昼から夜に変更になりました。政府関係者が乗るための変更だったそうですが真偽は定かではありません。さらに夜に変更になったフライトも急にキャンセルになり、瀋陽という都市に一旦飛びました。そこで平壌行きの便にやっと乗ることができました。現状中国経由でしか北朝鮮には行けません。“
意識高い系中島
“トラブルだらけじゃないですか...北朝鮮に行く飛行機に乗ってるのってどんな人たちなんですか?“
AKIくん
“半分が観光客、半分が現地人でした。基本的に北朝鮮人は国外に出られないので、飛行機に乗ってる人たちはかなり特殊な人たちです。
AKIくん
“空港は結構綺麗で、英語表記もありました。税関が激混みでかなり待ちましたね。荷物チェックはそこまで厳しいわけではありませんでしたが、スマホやKindleやPCは全部チェックされます。なんなら本の中身まで見られます。“

 

 

2. 北朝鮮に行って分かったこと

 

意識高い系中島
“すごい世界だ。いよいと北朝鮮についたわけですが、どんなツアーだったんですか?詳しく聞きたいです。“
AKIくん
3泊4日で、ツアー自体の料金は約10万円でした。そこに航空券代と雑費がかかります。北朝鮮の観光名所をめぐるツアーでした。印象に残ったのは錦繍山(クムスサン)太陽宮殿です

 

錦繍山太陽宮殿(AKIさん撮影)

 

AKIくん
金日成と金正日の遺体がある宮殿で、荘厳な場所でした。あまりにも巨大で、彼らの遺体のある場所にたどり着くまで30分も歩きました。ドレスコードがあったりホコリを払わなくてはいけなかったり、三箇所で礼をしなくてはいけなかったりと、今の政治体制にとって金日成と金正日がいかに大切かが分かる場所でした。
意識高い系中島
“そんな場所があるんですね。知らなかった。“
AKIくん
“北朝鮮を象徴する建物なのですが、そのわずか300m先にボロアパートが乱立してるのが印象的でした。“
AKIくん
“それと二日目の昼に忘れられない出来事が起こりました。公園にいたんですけど、近くでおばちゃんたちが踊ってたんですね。爆音で音楽が流れていて、その近くではトランプで遊んでる人たちもいて。とってもほのぼのとした光景でした。“
意識高い系中島
“のほほんとした雰囲気ですね。“
AKIくん
“僕自身すごい意外に思ったのですが、すぐにこれは「見世物なんじゃないか」と思いました。普段北朝鮮って国民がくつろいでる様って絶対後悔しないんです。わざとのんびりしてる様を演出するように人を動員してたんじゃないかと思ってます。
意識高い系中島
“マジかよ......怖すぎる......“

 

 

3. 北朝鮮名物マスゲームを見た感想

 

意識高い系中島
“北朝鮮といえばマスゲームが有名ですが、実際に見に行かれましたか?“

 

マスゲーム(AKIさん撮影)

 

AKIくん
“はい。行きました。メーデースタジアムという場所で開催されていて、1万人くらいが見てました。“
AKIくん
“2時間くらいの公演なのですが、最初に北朝鮮建国の歴史を45分間も披露していて、それだけでお腹いっぱいでした。“

 

マスゲーム(AKIさん撮影)

 

AKIくん
“ここでも少し考えないといけないことがあって、マスゲームって踊ってるのって主に平壌の小中学生なんですよね。無理やり彼らを動員して踊らせるのは人権侵害なんじゃないかという声もあるんです。一方で、組織の大切さを教え込むのがマスゲームであるため、北朝鮮の政治にとって切っても切り離せないものになってます。“
AKIくん
“そして1万人の観客の中には北朝鮮人も混ざっていました。移動の自由がない北朝鮮では平壌に行くこと自体一生に一回あるかないかくらいの出来事なんですね。マスゲームを見ることはとても光栄なことなんです。実際に生で見てみて、北朝鮮がいかにマスゲームを大切にしているかを学びました。“
意識高い系中島
“平壌に行くことすら自由ではないのか。改めて僕らの常識が通用しないということが分かりました。“

 

マスゲーム(AKIさん撮影)

 

AKIくん
“ガイドさんとの別れも印象に残ってます。この4日間ずっと一緒にいたんですが、別れ際に涙を流してたんです。国際情勢に興味があるガイドさんで「北朝鮮と日本はいつか仲良くなる」って言ってました。別れ際に「寂しい」と英語で言って泣いていたんですね。“
AKIくん
“しかしその涙ですら素直に信じることができませんでした。これも北朝鮮をよく見せるためのプログラムなんじゃないかって。涙までプログラムすることなんて普通はできないはずなんですが、その可能性ですら疑ってしまうのが北朝鮮なんです。“
意識高い系中島
“そこまでなのか......“

 

 

4. 実際に北朝鮮に行ってみて

 

意識高い系中島
“北朝鮮について気になる点がいくつかあるのですが、物価やネット環境、ホテルなどはどのような状況なのでしょうか?“
AKIくん
“物価という概念がそもそも難しいです。北朝鮮の通貨「北朝鮮ウォン」は外で使えず、ユーロや人民元で払います。日本円換算で水1本50円程度でした。当局が認めたスーパーでのみ両替ができるのですが、そのスーパーでしか使えません。北朝鮮ウォンは持ち出しが禁止されてるんです。“
AKIくん
“スーパーは綺麗でフードコートなどもありました。ネット環境はありません。SIMカードが空港で200ユーロで売られてました。ホテルはよく言えば綺麗、悪く言えば西洋かぶれといったところでしたね。水道水は怖いので飲みませんでした。“

 

ホテルの外観(AKIさん撮影)
ホテルのロビー(AKIさん撮影)

 

意識高い系中島
“なるほど。実際に北朝鮮に行ってみて、AKIさんはどんなことを思いましたか?“
AKIくん
北朝鮮は日本にとって特別な国だと感じました。ツアー中、日本語が話せる北朝鮮人と話す機会がありました。彼は日本語が話せるのですが「日本に友達がいるのに会いたくても会えない」と言ってました。“

 

 

AKIくん
“北朝鮮がよくない国なのは確かですが、かと言って悪い国だと思考停止するのはよくありません。北朝鮮のリアルを知って欲しいです。あれだけ崩壊すると言われて未だに崩壊せず存続しているのには理由があるんです。“
意識高い系中島
“ものすごく説得力がありますね... 実際に北朝鮮に行った身として、ツアーを他の人にもオススメしますか?“
AKIくん
オススメはしません。万が一何かあっても大使館など頼れる場所もなければ連絡手段もありません。十分に注意する必要があります。ただ行こうと思えば誰でも行けます。よくYouTuberが北朝鮮に潜入なんて言ってますが、あんなのは潜入ではありません。ツアー自体は完全に管理されているので安全です。スリもありません。スリなんてしたら彼らの身の方が危険ですから。
AKIくん
“ただ北朝鮮は「見せたいものだけを見せている」という意識は持っておいた方がいいです。このツアー自体北朝鮮の好感度アップのためのものなので。見せたいもの以外を見るには電車からの景色に注目するくらいしかありません。手作業で線路を作ってる様子が見えることもあるそうです。“
意識高い系中島
“すごい世界だ。北朝鮮を学ぶのにオススメの本などありますか?“
AKIくん
“僕がお世話になっている磯崎敦仁先生の『北朝鮮と観光』がオススメです。北朝鮮の観光に必要な情報が網羅されているとともに、知られていないリアルな北朝鮮の姿が描かれています。“

 

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毎日新聞出版

 

意識高い系中島
“ありがとうございます。将来的にAKIさんは何を目指しているのでしょうか?“
AKIくん
“研究者になりたいと思っています。そのためにはもっと北朝鮮に詳しくなる必要があり、さらなる勉強が必要です。いつかは本も書いて、正しい情報をより多くの人に知ってもらいたいと思っています。“
意識高い系中島
“素晴らしい目標ですね!全力で応援してます!今日はありがとうございました!!!“

 

いかがでしょうか。北朝鮮について学び、実際に北朝鮮に足を運んだAKIさんをインタビューしてきました。北朝鮮と聞くとよくないイメージを持ちがちですが、自分で情報を集め、判断することが大切なのだと再確認しました。北朝鮮に興味を持った方はよく調べた上でツアーに申し込むのもいいかもしれません。

 

今回インタビューしたAKIさんのnote、Twitterはこちらから。

note(ノート)

北朝鮮から帰ってきてからとはいうものの、謎の体調不良に苛まれています。どことなく胸のあたりが詰まった感じがして、これを「…

 

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