意識高い系中島diary

都内在住。意識高い系大学生の見聞録。Twitter ID @Nakajima_IT_bot

将来の夢なんてない

 

 
小学生の頃、将来の夢についての作文を何度も何度も書かされた。

学期が変わる度、学年が変わる度、イベントがある度に先生から原稿用紙を渡され、みなさんの将来の夢を書いてくださいと言われ、鉛筆を持ってじっと机に向かったものだった。

 

僕は小学校から中学校までを地元の公立学校で過ごした。

自分で言うのも何だが、絵に描いたような優等生だった。

先生に言われるがまま学級委員をつとめ、中学では野球部の部長で四番。

地元の教育レベルが高くないだけだが成績はずっと最上位。

まさに優等生と例えるしかない学生だったわけだ。

 

そんな僕だが、将来の夢を書けと言われる度に「さて今回はどうしたものか」と頭を悩ませていた。

 

 

理由は単純。将来の夢なんてなかったからだ。

 

 

 

僕が野球を始めたのは幼稚園の時だ。野球好きな父が毎晩巨人戦を見ていたこともあり、自然と自分もバットでボールを打ちたいと思い始めた。

公園に両親や祖母と野球をしに行き、めちゃくちゃなホームでボールを投げれば「ひろしは天才だ。プロ野球選手になれるよ」だなんて親なら誰でも言う言葉をかけられ、「よし、僕は野球を習ってプロ野球選手になろう」と思うまで、時間はかからなかった。

 

そのまま幼稚園を出て小学校に入学。すぐに地元の少年野球チームに入った。低学年のうちは体が小さく、試合が始まるのは中学年からでひたすらキャッチボールやノックをして、たまにバッティングをさせてもらう程度だった。

 

この頃まで僕の夢はプロ野球選手一択だった。まだ試合もしていないし、自分がどの程度のレベルなのか分からなかったが、テレビで活躍するプロ野球選手はかっこよかったし、年収も何千万円もあるのを知っていた。これで駄菓子がいくつ買えるんだろうなんて純粋なことを考えながら、マス目の大きな原稿用紙に「しょうらいのゆめはプロやきゅうせん手です」なんてミミズが這ったような字で書いていたものだった。

 

しかし思い返せばそれは僕が本気でプロ野球選手になりたかったからではなく、単純に知ってる世界が狭かったからに過ぎない。もちろん当時の僕は世の中にプログラマーとか弁護士とかいう職業があるのも知らなかったし、風邪を引いた時にいく病院のお医者さんを別段かっこいいとも思わなかった。

 

 

 

そして小学校三年生になり、ようやく試合に出る機会が回ってきた。が、ここで残念なことに自分のチームがびっくりするくらい弱いことに気がついた。練習試合から公式戦までほぼ全敗。僕の住んでた地域でダントツで弱かった。同じくらい弱いチームがもう一つあり、そこと戦って二回に一回勝てる程度。一つ前の代までは地域最強だったのだが、代が変わってありえないくらい弱くなったのだ。

 

同期の中ではそこそこ野球ができた僕は、三・四年生の試合に三年生の時からレギュラーで参加。ただこれといった活躍はできなかった。

 

将来の夢を聞かれて困るようになったのはこの時からだった。

僕だってバカじゃない。

ただの地域の少年野球チームに所属し、おまけに最弱。しかも軟式だ。

ちょっと同期の中で上手いだけで、他のチームのレギュラーと比べたら大して上手いわけではない。

 

プロになるような人は小さい時から硬式のクラブチームにいて、小学生の時からフェンスを超えるホームランをバンバン打つらしい。おまけに球を投げれば軽く100キロは超えると聞いた。

 

僕なんか足元にも及ばない。

あ、僕はプロ野球選手にはなれないんだな。

 

いつものようにコールド負けした試合の帰り道、友達の父親の運転する車に乗り夕焼け空を眺めながらそんなことを考えた。

 

さて、それを悟ってしまうと作文に困ってしまう。将来の夢?そんなものないよ。

 

 

 

周りの僕より野球の下手な友達が堂々と「プロ野球選手」と書くのを見て恥ずかしさすら覚えた。他のクラスの友達も似たようなものだった。「サッカー選手」だとか「ゲームクリエイター」とか、女の子は「パティシエ」とか「お花屋さん」が多かった。他にも「消防士」とか「看護師」とかも多い。

 

みんな本当になりたいの?

当時の僕は本気で疑問に思っていた。僕にとってはどの職業も魅力はなく、九九もろくに覚えられない彼らが今から十数年もその夢に向かって努力を続けられるとは到底思えなかったのだ。

 

小学校中学年にもなれば知っている職業も増える。10歳の僕は医者や弁護士は給料がいいことを知っていたし、物理学者はダークマターとかいうよく分からない謎の物質の解明に大忙しだということも知っていた。

 

しかしここで僕の中の優等生が目を覚ます。

この時、僕の周りで将来の夢に「医者」とか「弁護士」を書くやつなんて一人もいなかった。そんな中、僕が「物理学者」だなんて書いたら”また頭いいフリしやがって”と陰口を叩かれるんじゃないか。先生にも「あの子はちょっと頭がいいからって嫌みな子ね」と思われるんじゃないか。そんな不安が頭をよぎった。

 

その結果、僕は仕方なくもう何度書いたか分からない「僕の将来の夢はプロ野球選手です。」のお決まりの文を一行目に書き、なれるとも思っていないプロ野球選手への憧れをつらつらと無難に書き上げたのだった。

 

そして高学年になりやっと周りにも学校の先生とかを夢に書く人が増え、僕もようやくプロ野球選手と書かなくても浮かなくなった。結局ずっと成績は一番だったし、そんな僕が将来の夢に「医者」と書いても誰も何も言わなかった。みんなも医者は勉強ができる人がなるってことはさすがに知っていたらしい。結局卒業文集には将来の夢に「医者」を書いた気がする。

 

ただ心の中では全く医者に興味はなかった。ブラックジャックかっこいいなくらいは思っていたが、ただ親に勉強ができるなら医者になったらと言われ書いたに過ぎない。この時点で僕がどうしてもしたい仕事はまだ見つかっていなかった。

 

そして中学生に上がり、新たな生活が始まった。ただそのまま地元の学校に入っただけなので、小学校と大して変わらなかった。ただ隣の荒れた小学校と僕の小学校の二つからの生徒で主に構成されていたため、治安が悪かった。

 

このブログで何度も紹介したように、僕の中学は荒れていた。

ガラスが割れるのは日常茶飯事。やんちゃな奴らは中一からトイレでタバコを吸い、万引きのテクニックを競い合っていた。バカの女の子は喧嘩が強い先輩の子供をお腹に宿し、気がつくと学校からいなくなっていた。放課後にはメンヘラ女子が集団で廊下でリスカをし、これ気持ちいいんだよねと手首の傷を自慢してきた。その男版が根性焼きで、二の腕にタバコの火を押し付けた痕を誇らしげに見せびらかしていた。窃盗、暴力で少年院に送られた奴も山ほどいたし、ひどい奴はどこで手に入れたのか、ドラッグでベロベロになっていた。彼の腕の注射痕を今でも覚えている。

 

さて、こんな漫画のような荒れた中学でも僕はTHE優等生を貫き通した。他にできるスポーツもないので野球部に入り、当たり前のように学級委員をつとめた。部活の先輩に仲のいい少年野球の先輩がいたため理不尽な目に合わされることもなく、三年生が引退したのち、すぐにレギュラーになった。自分でいうのもなんだが、僕は目上の人に気に入られるのがうまい。ヤクザらしからぬ見た目の鬼顧問にも気に入られ、練習は厳しかったが同期がベンチで応援する中自分ひとり試合に出ることができ、自尊心は満たされていた。

 

勉強の方も上位をキープし、DQNのいじめの対象にもならなかった。頭の悪い彼らも何か頑張ってる人には一目置いているらしく、野球がそこそこ上手く頭も良かった僕は上手く彼らの標的にならずに済んだのだ。

 

さて、荒れた中学でもなんとか平穏に過ごせるポジションを獲得した僕だが、将来の夢はいまだになかった。

中学生にもなれば野球部の同期にも「夢はプロ野球選手」なんて書く奴はいなくなった。DQNは「整備士」とか「大工」あたりを書いてる人が多かった気がする。

 

そんな中、いまだに夢のない僕は「医者」とか「弁護士」だとか「物理学者」だとかいかにも優等生っぽいことを書いていた。

 

 

 

しかし三年になり部活を引退し受験勉強が始まると、進路指導の先生との面接練習が始まった。当時は試験に面接のある学校が多く、受験する高校の面接ありなしに関わらず全員練習に参加しなくては行けなかった。そしてそこでは当然夢について聞かれる。

 

「よろしくお願いします」と進路指導の普段数学を教えている先生のいる教室に入り、志望理由だとか高校でやりたいことを聞かれ、それっぽく答える。別に志望理由なんてない。当時目指していた高校が僕の偏差値的にふさわしかったからだ。勉強ができるのにわざわざ偏差値が低いところに行くわけないだろう。

 

さて、しばらくして恐れていた将来の夢についての質問が来た。ただこの時僕はどうせなら面白い回答をしようと密かに答えを用意していた。

 

「僕の夢は地方に学校を建てることです。」

 

「都会には有名な進学校がたくさんありますが、地方にはまだ多くはありません。有名大学に進むのは名門進学校の生徒ばかり。これはとても不公平です。なので僕は地方に新しい私立学校を新設し、勉強と部活に力を入れた、これからの日本を支える人材を育成する高校を建てたいです。」

 

ああ、なんてそれっぽいことを言ってるんだろうと思いながらスラスラと先生の目を見て話した。いかにもちょっと勉強ができる学生らしい夢ではないか。あえて先生になるだけに留まらず、学校を建てるというワンスケール大きな目標を掲げる。さすがは中島、一味違うなと先生を満足させるにふさわしい回答だった。ただ言ってることは深いようで浅い。もちろん当の自分は学校の先生になんてなる気も学校を建てる気も全くなかった。とにかく将来の夢なんてなく、その場をしのぐために作った話にしか過ぎない。

 

 

さて、無事第一志望の高校に入った僕だが、それでも将来の夢は見つからなかった。

地元で一番頭のいい高校に入り、生まれて初めて勉強で圧倒的敗北を喫した。 世界にはこんなに頭がいい奴らがいるのか。僕の地元はなんなんだ。友達に住んでるところを言うと、よくあんなところからこの高校入れたねと言われた。そうか、僕の地元はそういう場所だったのか。僕は井の中の蛙だったんだな。

 

現実を受け入れた僕はめちゃめちゃハードな部活に毎日クタクタになりながらどうにか5時起きで高校に行ったり電車で単語帳をめくりまくったりしてなんとか中の上くらいの成績をキープしていた。

 

やはりみんな頭が良いため、将来の夢がとても具体的だった。〇〇大学で△△の勉強をして××のビジネスをするとか、3浪以内で医学部に入って親の病院を継ぐだとか。中には高校のうちに留学してる友達もいた。

 

そんな中、特に夢も見つからなかった僕はとりあえず理系クラスに入り、上の大学に行けたら良いなあくらいの気持ちで勉強をしていた。

 

ただこの時から自分は何にでもなれるわけじゃないことに気が付いた。例えば僕はただの理系クラスに入り、医学部クラスはそれと別のため、無理とは言わないが医者になる可能性はなくなった。それに弁護士とか検察になる可能性もかなり低くなったわけだ。

 

こんな感じでなれる職業の幅が限られ、理系ということもありプログラミングとか建築に興味を持ったりした。特に建築に強く惹かれ、建築家の道を志したこともあったが、何が何でもというわけではなかった。そのまま夢のないまま受験をし、数学0点で落ち、浪人し、第一志望ではないが現役の時は到底及ばなかった大学に何とか入り、今に至る。

 

 

 

さて、大学に入って数年が経ち、良い加減夢が見つかったかと言えばそうではない。いまだにこれになりたいっていう夢はないし、なんとなくこんな感じで生きていけたら良いなあ程度にしか思っていない。

 

ただ黙っていても卒業する日はやってくるので、これからどうするかは決めなくてはいけない。今の僕には選択肢が三つくらいあり、かなり悩んでいるのが現状だ。

 

もしなりたい職業とかあればエンジン全開で駆け抜けられるのかもしれないが、残念ながらそうではない。さて、どうしたらいいものか。

 

そんな中、Amazonで「インベスターZ」という漫画が破格の値段で売られていた。

残念ながらもうセールは終わってしまったが、1巻が1円、2巻が2円、3巻が3円といった具合で売られていたのだ。

 

この「インベスターZ」はあの「ドラゴン桜」を描いた三田紀房先生の作品で、テーマは投資である。

 

実はこの漫画をインスタでフォローしている憧れのすごいエリートの先輩がマジで読めと何度も宣伝しており、ちょうどセールだったので迷わず買ったのだった。

 

 

ストーリーはこんな感じ。

北海道にある名門私立中高一貫の男子校・道塾に首席で入学した財前は入学早々「投資部」なる部活に連れていかれる。この道塾は私立校でありながら学費は創設者・藤田金七の意向により完全無料。表向きは彼の残した莫大な財産を運用しまかなっているとのことだった。

 

が、実態は異なった。道塾の経営資金は、各学年に首席合格したエリートたちによる投資で稼いだ金によってまかなわれていたのであった。投資について何も知らない財前であったが、先輩や歴代OB、さらには多くの実業家に投資のいろはを教えてもらい、何百億という額を扱い、資産を増やしていくのだった。

 

僕がこの漫画を買ったのは投資を勉強するためだった。実際とても役に立ち、自分がしている投資にもかなり役に立っている。投資に興味がある人はまずこの漫画を読むことをオススメしたい。

 

さて、少し話が逸れたが、このインベスターZの最終巻に、今の僕にとても響いたセリフがあった。

 

 

 

それがこちらだ。 

 

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インベスターZ 20巻 (Kindle版) P.170

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インベスターZ 20巻 (Kindle版) P.171

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インベスターZ 20巻 (Kindle版) P.172

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インベスターZ 20巻 (Kindle版) P.173

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インベスターZ 20巻 (Kindle版) P.174

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インベスターZ 20巻 (Kindle版) P.175





うん。これだ。これが僕がずっと何となく思い続けていたことだった。

この12歳にして投資の才能を開花させた天才中学一年生・財前孝史くんは、見事に僕の胸の中にずっとあったモヤモヤを一瞬で晴らしてくれた。そう、まさにこれなんだ。

 

「だって自分の将来を今決めても世界なんてすぐ変わっちゃうじゃないですか」

「その時々やれることをやっていけばいいんじゃないですかね」

 

うん。その通りだ。

世界は今ものすごい速さで変わっている。そんなことはいうまでもない。この10年でいつの間にかほとんどの人がガラケーからスマホに乗り換え、一人一台薄くて軽いノートパソコンを持ち、人工知能なんてものまで世間に広まり、ペッパーとかいうロボットが店先で接客していたりする。

 

 

 

別に最新技術じゃなくてもそうだ。

僕の野球選手になる夢だってたった2、3年で終わったし、建築家もいいなと思ってたが大学に入って1ヶ月で自分に向いてないと悟りさっさと諦めた。自分の好きなものなんてコロコロ変わるんだから、これになる!って決めたところで意味がないんだ。

 

それにどうして日本人は将来の夢を「職業」で答えるのだろうか。

僕はこの疑問をアメリカ人の友達にぶつけられハッとしたことがある。

確かに夢を聞かれると、なぜか僕らは職業を答えようとする。別になりたい職業を聞かれているわけじゃないのに。

 

だから僕はもう無理に夢を探さないようにした。

 

もともと考えることがコロッコロ変わりがちだし、これやる!って決めたところで僕なんか無視して地球は回るんだ。

 

だったらその時々で、自分ができることを見つけ、チャレンジしていったほうがよっぽど面白い。

 

僕は周りに流されるまいと意地を張るより、周りの変化に合わせてどんどん変わっていきたいと思っている。そのほうが自分の世界はもっと広がるはずだ。

 

 

もし小学校中学校のクラスメイトが、みんなあの頃の夢を叶えていたら、今頃地元にはコンビニよりお菓子屋さんが多いだろうし、100mおきに花屋があったはずだ。Amazonには友達が作ったゲームがずらっと並び、火事が起きれば知り合いがせっせと消防車で駆けつけ、インフルエンザの予防接種に病院に行けば元クラスメイトの女の子に注射をブスりとやってもらっていただろう。

 

しかし今現在地元には小さなケーキ屋さんが一軒しかないし、そこで働くおばさんは10年前と変わっていない。ゲームクリエイターになりたかった友人はゲームをしすぎて家にずっと引きこもっている。幸い大きな火事は起きていないが、風邪を引いて病院に行っても僕を待ち受けているのはこちらも10年前から変わらない小太りの化粧が濃いおばさんのままだ。

 

 

 

そう、将来の夢なんて早くに決めても意味がない。特にこの僕の場合はそうだ。

だから夢が見つからないからって焦る必要は全くないんだ。

自分が今できることをその都度見つけ、最善を尽くせばいい。

 

そうしていくうちに、きっと本当にやりたいことが見えてくるはずだ。

 

僕もいつか、本当に自分がやりたいことに出会える日が来るはずだ。

そしてそのチャンスを逃さないためにも常にアンテナを貼り、いつでも行動を起こせるよう目を光らせていたい。そしてこのブログも、この先もずっとずっとずっと、書き続けていこう。

 

 

 

インベスターZ(1)

インベスターZ(1)

 

 

 

 

<参考記事>

www.nakajima-it.com

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