今回の北欧一人旅、実は僕はほとんどお金を払って泊まっていません。ノルウェーのオスロ、ベルゲン、そしてストックホルム。これらの街では無料で泊まることができました。
そして僕はかけがえのない体験をすることができました。僕はこの素晴らしいサービスに感謝してもしきれません。今回僕が紹介するのは「カウチサーフィン」(Couch Surfing)というサービスです。これを使うと世界中どこでも無料で泊まることができます。
しかし忘れないで欲しいことがあります。カウチサーフィンは決してタダで泊まりたい人が好き勝手に使えるサービスではありません。カウチサーフィンの真の目的は、現地の人と心を交わすことにあります。今回はそんなカウチサーフィンの魅力を紹介していきます。
1. そもそもカウチサーフィンって何なの???
そもそもカウチサーフィンとは何なのか。Wikipediaをそもまま引用するとこう書いてあります。
カウチサーフィン (The CouchSurfing Project) は、インターネット上の無料国際ホスピタリティー・コミュニティーであり、現在世界で最も大きなホスピタリティー・エクスチェンジ・ネットワークである。英語の「カウチ」(couch, 日本語で言うソファー)とサーフィンを併せた名称である。CSともいう。
海外旅行などをする人が、他人の家に宿泊させてもらう(カウチをサーフさせてもらう)という形式の相互的な思いやりや信頼による制度である。コミュニティーの軸にしたウエブサイトにて、プロフィール、身分確認制度、メンバー同士の評価等により、世界各地のメンバー間で連絡を取り相談の上で宿泊が決まる。
2004年1月1日に公式に開始したカウチサーフィンは各国マスコミの過熱報道を受け、2009年9月の時点では、200か国に亙る130万人のメンバーがいる。(日本にて活躍しているメンバーは1300人程度。)ウエブサイトとして2008年にページビュー数(ウエブサイトがアクセスされた回数)が1日3千万超であった。サイトは現在、7ヶ国語で使える。
そう。カウチサーフィンはインターネット上の無料国際ホスピタリティー・コミュニティーなのです。こちらに個人情報を登録し、旅行先の国で滞在させてくれるホストを探し、実際に現地であって泊めさせてもらうという流れで使います。しかもこれが完全に無料。本当に無料なんです。
今回僕は旅行に行く前事前に記事で北欧を旅する予定があることを書きました。するとフォロワーさんから「カウチサーフィンを使えば無料で旅できますよ!」と教えていただきました。はじめはそんなにうまくいくのかな?とか安全なのかな?なんてかなり心配しましたが、とても楽しく旅することができました。続いては実際のメッセージのやり取りを紹介します。
2. ホストを探そう
個人情報を登録したらさっそくホストを探しましょう。
例えば今回訪れたスウェーデンのストックホルムで検索するとこんな感じです。
現在サーファーの受け入れをしている方が一覧で表示されます。
そのうちの一人のプロフィールをのぞいて見ると
今までホストした人の数と出身国、そして自分がホストしてもらった国、趣味をはじめ
話せる言葉や好きな映画や本、ゲストに提供できるものなど
さらには自分がカウチサーフィンを使う理由や今まで体験した素晴らしいことなど、事細かに書いてあります。
そしてお部屋の情報もあります。
ここでみなさんが一番気になるのが「初対面のしかも外国人の家に泊まるのって危なくないの?」ってことだと思います。僕も正直これが初めてだったので果たして無事に泊まることができるのか心配でした。しかし逆に考えて見てください。2004年に始まったこのサービスが今も続いており、さらにユーザーを増やしているのは、カウチサーフィンが安心安全に使えるサービスだという何よりもの証拠でしょう。
そして何よりホストの情報を詳しく見ることができます。生まれ、話せる言語、仕事、趣味などなど。さらに泊まったホストのレビューも確認できます。
3. ホストにメッセージを送ろう
ここまでしっかりと確認できるので安心してホストを選ぶことができます。できれば情報がたくさん載っているホストの元に泊まりたいですよね。そしてそれはホストも同じです。
泊まるまでの流れとして、まずはじめに気になるホストにメッセージを送ることから始まります。ここで大事なのは自分のプロフィールを細かく設定することです。ホストからしても素性のよくわからないゲストを自分の家には泊めたくないものです。しっかりプロフィールを埋めましょう。
さてプロフィールを充実させたらいよいよメッセージを送ります。
僕はこんな感じで北欧一人旅への熱い想いとどうしても安く泊まりたい事情と、当日何時に到着し何時に出発するかを送りました。
そしてこちらの方は僕の申し入れをOKしてくれました。
親切に空港までの行き方も教えてもらいました。
こんな感じでメッセージを送り続け、オスロ、ベルゲン、ストックホルムで泊めさせてくれるホスト3名と出会うことができました。オスロに一泊、ベルゲンに一泊、ストックホルムに2泊。計4泊です。普通に泊まれば一泊1万はするのが北欧の相場ですので、これだけでも4万円お得になりました。
そしていざ出発。デンマークのコペンハーゲンの旅を終えた僕はノルウェーのオスロに到着。そして夜まで観光を楽しみ、ホストの家に向かったのでした。
4. 実際に泊まってみた
21時にホストの家にいく約束をしていた僕は、オスロ郊外までのトラムを使って彼の最寄り駅まで行きました。
これから知らないノルウェー在住の人の家に行くのかとかなり緊張していました。駅から20分歩き、人も少ない薄暗い路地に面したアパートに到着。
インターフォンの前で待ってと言われ、着いてすぐにメッセージを送りました。
ここで気が付いたのが彼の名前がこのどこにもない!大丈夫?と不安になりました。
鍵開けたよ!とメッセージが来てドアが開き、彼の待つ3階へ。写真でみた通りの体の大きなおじさんが笑顔で待っていました。こちらも笑顔を返し、恐る恐る案内されるがまま部屋へ。
ここだ君のベッドでトイレとシャワーはあっちでテレビは好きにみていいと説明を受けました。プロフィールによると今まで50人もホストした経験のある方で、かなり手慣れた様子でした。
外国の人の家にいるという不思議さと緊張感で縮こまっていると「そんなかしこまらなくていいよ!君の他にももう一人泊まっていてさらにあと二人今日来る予定なんだ!」とおじさん。そんなに泊めてるのか!しかも無料で。善意の塊でしかありません。
彼らが来る前にシャワーをあび、寝巻きに着替えました。戻るとおじさんが僕の趣味の欄に筋トレと書いてあるのを見たからか、同じく筋トレ好きの彼特製の栄養満点ドリンクを作ってくれてました。
めちゃめちゃ美味しかった。そして一緒にあのヴァイキングの映画「Viking Saga」を観ました。
外国の人の家で初対面のおじさんと映画を観るなんて夢にも思いませんでした。
彼のアパートは広く、彼専用のベッドルームと、キッチン、そしてリビング、洗面所がありました。ゲストはリビングの大きなソファーに寝ます。僕もこんな感じの快適なソファーを貸してもらいました。
するとここでもう一人のゲストが帰宅。
しかし何も言わずソファーに荷物を放り出し靴下のまま机にどかーんと足をのせフーッと一息。誰なんだこいつは。
彫りの深い顔の彼は隣にいる僕に気がつくと笑顔で握手を求めて来ました。
「やあ僕はジェームズ。イギリスからシェフの修行で来てるんだ。ここには一ヶ月住まわせてもらってるんだ。よろしく。」
するとおじさんが戻って来てジェームズにお帰りと一言。まるで親子のようです。
にしても赤の他人を一ヶ月も無料で泊めるだなんておっさん太っ腹すぎる!!!
それに人の家に泊まってるのに態度がでかいジェームズもすごい。ちょっと日本人からすると考えられませんが、いかに彼が居心地よく生活しているかが見て取れました。
ジェームズがシャワーを浴びている間、彼になぜ無料なのにホストをしているのか聞いて見ました。
「僕は5年前トルコを旅した時、そこで初めてカウチサーフィンを使ったんだ。その時現地の人の家に泊まってね。夜通しお酒を飲んでイスタンブールの夜景を眺めながら語り明かしたんだよ。それは僕にとって最高の経験だった。だから僕もそんな経験を世界中の人と共有できたらなって思って始めたんだ。」
イ、イケメン過ぎる...
ここで彼のプロフィールに「お土産はいりません。でももし買ってくれるのならワインが欲しいです。」とあったのを思い出して事前に買っておいたワインを渡しました。初めは「受け取れないよ」と言っていましたが、最後はおじさんが折れ、僕ら3人でワインを飲みました。お礼としてお土産を持っていくのがオススメです。少なくとも日本人的な感覚からすると何かしらお礼をしなくてはと思うので僕は買っていきました。
一方でマナーの悪い方もいるようで、その日泊まる予定だった別の韓国人の女の子二人組は時間になっても連絡が来ず、結局いつまで経っても現れませんでした。おじさん曰く2時間前まで連絡していたので確実にオスロにいるはずなのですが、気でも変わったのでしょうか。無料のサービスのためドタキャンした方にペナルティもなく、個人のマナーに任されているところがカウチサーフィンには多いです。ホストに迷惑をかけぬよう最低限のマナーは守りましょう。
そして僕は眠りにつき、翌朝、フィヨルドツアーに行くために朝早く誰も起きていない間にアパートを後にしました。おじさんに出るときにシーツと毛布をまとめて洗濯機の上に置いておいてと言われたのできちんと整えておきました。おじさん本当にありがとう。
その後、ベルゲンでもカウチサーフィンで連絡をとっていた台湾出身のシェアハウスをしている二人の男性宅にお邪魔し、泊めてもらいました。
しかも無料で泊めさせてもらった上に、ディナーまで用意してくれました。これがめちゃめちゃ美味しかった。
さすが海洋国家ノルウェー。魚もエビもめちゃめちゃうまい。
食べ終わったあとは台湾で大人気というクレヨンしんちゃんを台湾語字幕、日本語音声で観ました。慣れ親しんだ僕からするとしんちゃんのギャグではクスッとする程度なのですが、彼らは手を叩いて大笑い。国によって笑いのツボも違うのかもしれません。
この日は風が強く、停電というアクシデントに見舞われました。実は洗濯機を貸してもらい洗っている途中で、スマホの明かり頼りに完了しているか下まで降りて確認したりしました。バッチリ洗濯は終わっていました。ありがたい。
停電はなかなか復旧せず、キャンドルを灯してみんなで語り合いました。
彼らが今度日本で仕事をすること、将来は台湾を代表するアーティストになりたいこと、ノルウェーの人は僕らアジア系にもとっても親切なこと。いろんなことを聞かせてくれました。
やがて電気が戻り、洗濯物を乾燥機にかけてもらいました。この日はベッドを貸してもらい、またも翌日朝早くに起きるにも関わらず快くOKしてくれました。
快適な部屋で朝を迎え、目覚ましの通り5時に起床。ホストも一緒に起きてくれて玄関まで送ってくれました。硬く握手をかわし、いつか日本で会おうと約束しました。あの風の強いベルゲンの朝を、そして彼らが振舞ってくれた料理、停電の中輝いていた優しいキャンドルの明かりを、僕はこの先一生忘れることはないでしょう。
そしてスウェーデンではカップルのお宅に泊めさせてもらいました。
こちらも無料で泊めさせてもらっているのにも関わらず晩御飯を一緒に作らせていただきました。しかもスウェーデン人の男性は日本語がペラペラ。久しぶりに日本語で会話しました。
共同のシャワーにはジムもついており、とても快適でした。
そして日本が大好きなホストは永谷園のお茶漬けが大好物。ちょうど日本食が恋しくなってきた僕にお茶漬けを出してくれました。まさかスウェーデンで永谷園のお茶漬けを食べることになるとは!
朝ごはんもご馳走になり、感謝しても仕切れません。本当にお世話になりました。
5. 最後に忘れないで欲しいこと
いかがでしょうか。こんな感じで僕はカウチサーフィン(Couchsurfing)を使って無料で色々なところに泊まることができました。ただ忘れないで欲しいことが一つあります。
カウチサーフィンは決してタダで泊まるためだけに使うものではありません。
あくまで本来の目的は、ゲストとホストが交流し、国を超えたつながりを結ぶことにあります。
言ってしまえばカウチサーフィンはボランティアです。しかも国も違う人を無料で自分の家に泊めるという善意の塊のような人が参加するサービスです。
そんな素晴らしいサービスがずっと前から存在し、長い間たくさんの絆をもたらしてきました。これだけでも僕はこの世は生きるに値するんだなって思います。
だってこんな互いの信頼関係なしには成り立たないサービスが存在するんですよ。まだまだ世界には心優しい人がたくさんいるんだなって、素直に感動しました。
泊めさせてくれたホストとは今もSNSでつながり、よくメッセージをやりとりしています。彼らが日本に来たら、全力で案内します。全力で。そしていつか僕もホストになって、日本を訪れる外国人を家に泊め、感動体験を提供したいと、そう強く思いました。
ストックホルムで泊めさせてくれた日本語ペラペラのホストに別れの際、こんなことを言われました。
「人生をよくするのは出会い。これを忘れないで。」
いつもならバカにしていたそんな言葉が、ずっしりと胸に響きました。この北欧一人旅が素晴らしいものになったのは、色々な人との出会いがあったからです。ありがとうみんな。ありがとうカウチサーフィン。
カウチサーフィンを使えば、無料で旅する以上に、素晴らしいつながりが生まれます。
皆さんもカウチサーフィンを上手に使って、一生の思い出に残る旅に出かけてください。
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