グレーテストショーマンに素直に感動できる人間になりたかった

 

 

 

 ”THE NOBLEST ART IS THAT OF MAKING OTHERS HAPPY.”

ーP.T. BARNUM

至高の芸術とは見る者を幸福にするものだ。

 

 

グレーテストショーマンは実在した興行師P・T・バーナムの成功を描いたミュージカル映画だ。今一番人気の映画と言ってもさしつかえないだろう。

 

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小さい頃から貧しかったバーナムは良家のご令嬢チャリティと親の反対を押し切って結婚する。しかしバーナムの勤める会社が倒産してしまい、一家は苦境に立たされる。そこでバーナムは世界中の怪しいものを集めた博物館を開き、お客を集めようとする。だが全く客足が伸びず、もうダメかと思っていたある日、娘の一言でバーナムは新たなアイデアを思いつく。

それが”サーカス”だったー

 

この映画ははじめから終わりま主人公バーナムの明るくポジティブな様子が描かれている。彼はどんなに追い込まれても夢を忘れず突き進む。そして最終的に夢を叶えるというサクセスストーリーだ。

 

オープニングに流れる”The Greatest Show”は最高にアガるし、パフォーマンスも圧巻だった。構想から苦節8年、それほどの時間をかけたことが観ればわかる。圧倒的な迫力、華やかな演出、劇場にいながらサーカスを見ているような気持ちになった。

 

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だが僕は全てにおいて共感できたわけではなかった。極力ネタバレをせずにその感覚を言い表すと、バーナムの成功があまりにもうまくいきすぎた感が強かった。それに彼の身に起こる不幸はかなり重大であるにも関わらず持ち前のポジティブさで気がついたらなんとかなっている。バーナム本人は実際にはかなりの紆余曲折を経て興業を成功に導いたはずだが、かなりそこのところが省略されている。彼の人生の成功した面を取り上げ、辛いことがあっても前向きにいれば成功も付いてくるよねというメッセージ性が強すぎると感じた。

 

というのも僕自身今まで物事がうまく言ったことなど数えるほどしかなく、こんなうまくいくほど人生甘くないぞというニヒルな気持ちで映画を見てしまったからだ。変につっこみを入れずに素直に感動できる人の方が人生は楽しいに違いないが、どうも僕はそういかない。余計なことを考え、現実と照らし合わせてしまうのだ。

 

 

 

 グレーテストショーマンの音楽は「ラ・ラ・ランド」の制作に参加したジャスティン・ポールとベンジ・パセックが手がけている。

 

僕はこの情報を知った時、もしかしてグレーテストショーマンはラ・ラ・ランドのようなミュージカル映画なのではと大いに期待が膨らみ、観に行くのを楽しみにしていたのだが、実際はラ・ラ・ランドとはだいぶ違った映画内容だった。もちろん同じような映画をプロが作るわけないので当たり前ですが。

 

 

僕はラ・ラ・ランドが大好きだ。2017年に観た映画の中でダントツによかった。演出、音楽、脚本、どれをとっても素晴らしく、名だたる映画賞を総ナメしたのも納得であった。

 

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もうかなりの人が観たと思うので軽く内容に触れると、ララランドは切なさに溢れた映画だ。男女の恋を描いたラブロマンスと誤解されがちだが、いい意味で期待を裏切られることになる。

 

 

冒頭の"Anothe Day of Sun"で心をがっちり掴まれ、最後まで僕を離さなかった。

 

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ララランドで描かれたのは”夢と現実の差”だと僕は思っている。

ジャズバーを開きたいセブと女優を目指すミア。時代遅れな夢を持った2人は互いに惹かれ合い幸せに暮らすが経済的な理由からセブはお金を稼ぐために一旦夢を置いて別の方法で働きに出る。一方ミアは女優の夢を諦めず、小さな劇場で公演を続けるも失敗続き。別々の道を歩み始めた2人は次第に疎遠になってしまう。

 

 

そして彼らの運命は別れ、再び近づきを繰り返し、誰もが予想しなかったクライマックスへ向かって行くのだ。

 

僕は映画を観たその日にサウンドトラックを買い、今でも聴いている。映画を観た後にあんなに感傷的な気分に浸ったことはなかった。

 

夢を追うことの大切さ、現実との折り合いのつけ方、そして恋人との縁。

色々なものが押し寄せ、頭の中がラ・ラ・ランドの音楽で満たされた。

素晴らしい映画には素晴らしい音楽が必須だと前に言ったけど、素晴らしい映画の素晴らしい音楽はいつまでも記憶に残る。感動的なシーンが僕の生活の随所で音楽とともに呼び起こされるのだ。

 

僕はラ・ラ・ランドをレイトショーで観に行った。映画が終わった23時、四月のかなり温かい日だった。見終えた人が小さな声で感想をささやき合う暗い劇場を歩き、外に出る。駅まで続く街灯が僕の足元を照らしていた。

 

僕は俳優になった気持ちで歩いた。”Another Day of Sun”をうろ覚えで口ずさみながら、軽やかに。自分が主人公になった気がした。この瞬間が去年で一番心が満たされた瞬間だったかもしれない。

 

 

いい映画はいつまでも余韻が残る。たった2時間の経験が観るものに一生残る感動を与え、明日を生きる勇気を授けることだってあるのだ。

 

”THE NOBLEST ART IS THAT OF MAKING OTHERS HAPPY.”

ーP.T. BARNUM

至高の芸術とは見る者を幸福にするものだ。

 

ラ・ラ・ランドもグレーテストショーマン も、観た後の僕を幸せな気分にさせてくれた。ストーリーの面では、よりリアルで儚く切ないラ・ラ・ランドの方が僕の好みだったが、グレーテストショーマン も間違いなく名作である。パフォーマンス、音楽どれも圧巻だった。

 

ぜひ劇場まで足を運び、大きな画面ときれいな音響で非日常的な映画体験をしてほしい。

 

 

 

 

 

 

 

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