長いようで短かったなんて、言いたくないけれど。

 

 

 

前回のラグビーワールドカップから4年の歳月が流れ、今、この日本でラグビーワールドカップが開催されている。

 

ラグビーファンの僕にとっては、すぐ近く、手の届く場所で世界の強豪が楕円球を追ってぶつかり合ってるというだけで、とてつもない興奮を覚えるのだが、それ以上に、前回大会から4年が経ったということに感動している。

 

4年前、浪人していて精神的に追い込まれていた僕を救ったのは、史上最大のジャイアントキリングと呼ばれる南アフリカと日本の試合だった。

 

 

あの世紀の大逆転に勇気をもらい、僕はどうにかしんどい時期を乗り越えた。

 

そして、あれから4年。

 

 

長いようで、短かったなんで使い古された言葉は言いたくないけれど、本当に長いようで短かった。

数え切れないくらい色んな経験をし、勉強で精一杯だったあの頃とは考えられないくらい、いろんな人と会い、いろんな経験をし、同時にたくさん失敗もし、苦し涙を飲み込みながら、楽しく生きている。

 

日本代表も、とんでもなくしんどい練習を耐え抜き、この日本大会に挑んでいる。

 

日本代表に限ったことじゃない。僕ら全員が、4年という歳月に、いろんなことがあったはずだ。

 

ここでとても印象的に残った言葉を紹介したい。とあるお世話になってる人の誕生日会に行ったとき、その方がとても仲のいい友人の方をみんなの前で紹介し

 

「彼と出会ったのはたったの4年前なんだけど、もうすっかり親友です。」

 

と話していた。僕はハッとした。

 

「4年が、たったの、なのか」と。

 

僕はまだ20代前半で、僕にとっての4年はとんでもなく長い。

 

4年前の僕は、浪人生であり、今、自分で文章を書いて、仕事をして、休学してるだなんて夢にも思わなかった。

 

そのさらに4年前の僕は、中学3年生で、ただの坊主の野球少年だった。

のちに高校へ進み、卒業して浪人し、予備校に缶詰になって死にかけてるだなんて思いも寄らなかった。

 

その中学校3年生からさらに4年前は小学校5年生で、のちに中学校に入って、不良と戦いながら白球を追っかけてるだなんて、考えもしなかった。

 

そんな4年という、今までの僕にとってはあまりに長く、環境がガラッと変わってしまうような歳月も、大人になっていくと、あっという間になってしまうのかもしれない。

 

でも、それはとても素敵なことじゃないかと思う。

 

たったの4年ってことは、それだけ密度が濃く、あっとういう間の4年だったということだ。

 

何歳になっても、密度の濃い時間を過ごして、夢中になって、気がついたら時間が経ってた。それはとんでもなく、イケてる。かっこいい。めちゃめちゃ憧れる。

 

 

僕は幸い現在、素敵な人に囲まれている。

素敵な人というのは、毎日やる気に満ちて目標を持って生きてるような人たちのことで、お世話になってる人や、イベントに来てくれる人は、みんなそういう人たちだ。そんな素敵な人たちに囲まれていると、自分もやるっきゃねえと、気持ちが奮い立つ。

 

でも、世の中はそんな素敵な人たちばかりじゃない。

 

昔、塾でバイトしていた頃、塾長はいつも暇そうで、早く授業終わって帰りたいなと、ずっと時計を眺めていた。

 

僕が当時知ってた大人はみんなそんな感じで、特に仕事にやる気も感じず、時間が過ぎるのをただただ待ってる、目が死んでる人たちだった。

 

僕自身、大学を出たら、ただ給料をもらうだけで、好きでもない仕事に耐えながら椅子に座る生活が待っているのだろうかと、塾長を見ては絶望していた。

 

でもそれは違った。一歩踏み出して広い世界を見てみると、あら不思議。今まで出会うことのなかった、やる気に満ちて限られた24時間をどれだけ密度濃く駆け抜けられるかに人生をかけている大人がたくさんいた。

 

そんな彼らにとっては、4年なんて歳月は、あっという間なのだ。

 

僕にとって、4年という歳月は長い。でも長いのは、長いと感じるのは、4年前と比べて自分の環境がとんでもなく変わってきたからそう感じているだけで、実際には、とんでもない早さで、あっという間に4年を過ごしてきた。

 

大学を休学してからのたったの半年。6ヶ月でも、環境はガラッと変わった。

 

全国を周り、いろんな人と会い、失敗し、落ち込み、ときに成功し、喜び、しんどいなかで踏ん張りながら、どうにかここまでやってきた。

 

密度は絶対に濃い。とんでもなく。

 

長いようで、短かったなんで、ありふれた言葉は使いたくないけれど、長いようで、短い。とんでもなくいろんな経験をした、密度の濃い時間が、今もあっという間に目の前を通り過ぎていく。

 

限られた時間の中で、精一杯やれることをやっていこうと思う。

 

 

 

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