間違ったトイレの使い方で本当に用を足せるのか検証してみた

 

 

 

僕の好きな映画「フォレスト・ガンプ」に

 

Stupid is as stupid does.

バカをするヤツがバカなんだ。

 

という主人公の言葉がある。

 

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初めてフォレスト・ガンプを見た高校生の時から数年後、僕はパンツ一丁で実家のトイレに立っていた。

 

バカをするヤツがバカなんだ。

 

そう呟くと、僕は右足をゆっくりと持ち上げたのだった。

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

遡ること1ヶ月前、奇妙な張り紙を目にした。

 

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とある駅の公衆トイレにその奇妙な張り紙はあった。英語や中国語、韓国語で書いてあることから、外国人向けの張り紙なのだろう。

 

ここだけではない。注意して街中のトイレをよく観察してみると、いたるところにその張り紙はあった。

 

ここにも

 

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ググっても色々出てきた。

 

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さて、こんな張り紙を多数目撃した僕だが、どうしても「奇妙」と感じざるを得なかった。先ほどの画像をもう一度見てみよう。

 

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左の使用済みのトイレットペーパーを流さずにゴミ箱に捨ててしまう外国人がいるのはまだ理解できる。海外じゃ流さずにゴミ箱に入れる国も多いことは僕も知っている。

 

問題は右だ。

 

便座に腰掛けて使用してください。

Please do not step on the top of toilet seat.

 

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......ちょっと待ってくれ

 

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これ......

 

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本当にこんな体勢で用を足せるのか???

 

どう考えても無理じゃないかこれ。

 

だって便座に足乗っけてバランス取りながら和式にするかの如く用を足すんでしょ???不可能じゃない???

 

 

 

 

なんならさっきのこれとか

 

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............

 

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............

 

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............!!!!!

 

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外してんじゃねえか

 

無理じゃん。

 

しかしどういうわけかこのいささか無理な姿勢で用を足さないでくださいという注意書きは街に溢れている。

 

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いやいや。どう考えてもこの体勢無理でしょ。

 

にも関わらず日本を訪れる外国人たちはあんな無理な体勢で用を足しトイレの秩序を乱していると行政から誤解され、あんな意味の分からない張り紙まで貼られてしまっているのだ。

 

 

 

 

中島は激怒した。

 

必ず、かの邪智暴虐の張り紙を除かなければならぬと決意した。

 

このまま外国人たちが誤解され、意味の分からない張り紙が世に出回るのは見当違いもいいところだ。あんな姿勢で用を足すのは無理だ。一体誰ができようか。

 

一体誰が...

 

誰か...できる人が...いるのか...?

 

もしかして、あの姿勢で用を足すことは可能なのか?可能だからこそあんな張り紙があるのか?なら......僕にもできるのか?

 

その時、フォレスト・ガンプのあの言葉が脳裏をよぎった。

 

バカをするヤツがバカなんだ。

 

世の中、やって見なきゃ何も分からない。

 

そう決意した僕はンツ一丁で実家のトイレに立っていたのであった。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

今回僕が戦場に選んだのはどこにでもある何の変哲も無いトイレだ。

 

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トイレの画像で身バレするなんてことは無いと思うが、念には念を押してネットで拾った実家と同じタイプのトイレの画像にモザイクをかけた。

Google先生は実はとっても下ネタに厳しい。もしかしたらトイレの画像ですら「お下品です!ピピピーッ!!!」と怒られてしまうかもしれない。というわけでゴリゴリにモザイクをかけてみた。これで大丈夫なはずだ。
 

よしでは早速っ......いや待て。

 

 

 

 

敵を知り、己を知れば、百戦危うからず

 

という孔子の言葉にあるように、戦いの際にはまず敵を知らねばならない。今回の敵は便座。

 

おそらくこの時、僕は世界でたった1人、便座を敵と見做してる人間になった。

 

まずはその敵のサイズを知らねばならない。

 

実際にメジャーを当てて測ってみると、便座は場所によって細さが変わっており、太いところで8cm

 

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細いところで5cmだった。

 

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......だ、大丈夫だよね???

へ、変な毛とか写ってないよね???

 

ちなみにこの便座の手前になるにつれて細くなるデザインの分かりやすい画像を探すためにググったのだが

 

 

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おそらく今日日本でたった1人「便座 高画質」で ググった人間になったと思う。ただいい画像がなかったので気になる人は今すぐトイレで確認してください。

 

さて、続いては「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」の己を知る段階だ。こちらもメジャーを用いて足の幅を測ってみた。太いところで9.5cm、狭いところで5cmだった。

 

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キツくね???

 

便座で一番太いところで8cmだったので、足の幅の方がデカい。

ちなみに平均台の幅は10cmなので、便座であの姿勢で用を足すことは平均台の上で用を足すこと以上に難しいということになる。

 

な、なるのか?まあよく分からんがとにかく難しいということは分かった。

 

 

 

 

よし、ここまで来たら最後のステップだ。やってやる。

 

バカをするヤツがバカなんだ。

 

そう呟くと、僕は右足をゆっくりと持ち上げた。

 

まず右足をしっかり便座にフィットさせ、決して滑らないように安定させる。もちろん裸足だ。何てったって万が一足を滑らせようなものならにドボンだ。

 

ここで分かったのだが、便座がトイレの中央に向かってわずかに傾斜しており、バランスを取るのが難しい。細心の注意を払いながらどうにか右足の位置を決め、続いて左足をあげる。どこか持たないとバランスが取れないため、トイレのフタを抑えて体を支える。

 

そしてゆっくりと左足を上げる。

 

が、キツい。

 

踏ん張る際にどうしても右足のかかとを上げ、つま先に力を入れなくてはならないのだが、そうすると右足の先しか便座に触れない状態になり、傾斜があることもありかなり不安定になる。

 

い、いってええ

 

今まで使ったことのない右足のアキレス腱上?の謎の筋肉に力を入れたため激痛が走った。するとその刹那、玄関を開ける音が。

 

は、母親である。

 

 

 

 

何を隠そうここは実家である。さすがに家に誰もいない時間を見計らってこの検証を始めたのだが、予想以上に早く買い物を終えた母が帰って来てしまったのだ。

 

「た、頼む。トイレに来ないでくれ。」

 

と祈る。幸い母はそのままトイレを素通りしキッチンへと消えていった。

た、助かった...

 

何てったってドアを一枚隔てた向こうには、大切に育てた息子がパンツ一丁でトイレの上に座っているのである。

 

鍵を締めているから絶対に開けられないとは分かっているものの、ドアの向こうで息子が意味不明なポーズで固まっているのを知ったら、どこで道を謝ったのだろうと倒れてしまうかもしれない。

 

そしてそんな生き恥を晒すような息子にならないために僕はあえて素っ裸ではなく、パンツを一枚履いて僕はこの検証に臨んだのだ。さすがに何も着ないでこんなことをしている様子を記事に書いたら読者の方はがっかりしてしまうだろう。うげえ。こいつキモすぎるって。

 

いや、パンツ一丁でそんなことをしている時点でキモいもクソもない。

てかパンツ一丁になる意味がまずねえじゃねえか。全部履くか全部脱ぐかでええやん。

 

まあいい。

とにかく危機を脱した僕は、左足をどうにか安定させ、ついにあの体勢にたどり着いた。

 

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こ、これだ......

 

これがあの間違ったトイレの使い方の張り紙で見た体勢だ......

 

しかしこの体勢、本当にキツイ。バランスが悪く同じ体勢を維持するのがとても難しく、普段使わない謎の筋肉で体を支えているため、めちゃめちゃ痛いし攣りそうなのだ。

 

 

 

これで用を足すのは....

 

明らかに無理

 

不安定すぎてそんなことできない。

 

しかもどう頑張ってもこうなってしまう。

 

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収まらないのだ。

 

無駄に体の大きい僕ははみ出てしまう。

これでは仕方がない。

 

残念ながら検証の結果、間違ったトイレの使い方で用を足すのは不可能ということが分かった。もちろん小さい方であれば可能ではある。そっちならね。あ、やってないよ。さすがにそんな恥さらししないよ!!!本当だからね!!!

 

 

 

 

やれやれと一息ついたその時、気の緩みからかバランスを崩し、体が後ろに傾いた。

 

や、やばい。

 

その瞬間、両足のつま先にグッと力を入れ、前に戻そうと上半身を前に傾けたが、すると今度は逆に前に体が傾き、それを補うために膝のクッションを使って後ろに重心を傾けるというシーソーゲームが始まった。

 

ふらつく重心を安定させるべく、膝が次第に伸びていき、気がつくと......

 

なぜか僕は便座の上に立っていた。

 

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クララが立った!!!

 

さっきまで便座の上で無様にしゃがみ足の痛さに悶えていた男子大学生は、今、クララのようにはじめてトイレの上に立ち上がった。

 

そしてその姿はまるでラオウの如く堂々たるものであった。

 

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わが生涯に一片の悔いなし!!

 

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いや悔いしかねえわ!!!

 

何が楽しくて俺はトイレの上に立ってんだよ!!!

 

まさか母親もドア一枚隔てた向こうで息子がパンツ一丁でトイレの上に直立不動の姿勢で立っているなど思うまい。何をしてるんだ俺は。

 

バカをするヤツがバカなんだ。

 

これは真面目な検証だ。バカなことなんかじゃない。はじめはそう思っていたが、どっからどう見てもバカなことをした。しかしバカなことをしてバカになった結果、この世に新たなトリビアが生まれた。

 

間違ったトイレの使い方では用を足せない。

 

うん。足せません。

1人トイレで格闘した僕は、誰も未だ到達できていなかったかつ誰の役にも立たない知識を獲得したのだった。

 

 

 

静かにトイレから降りた僕は、うっすらと汗をかいていたことに気が付いた。

 

トイレから出て、リビングの窓を開けると、外の空気が暖かい。

 

そうか。もう2月も終わるのか。

 

いつの間にか真冬の凍える寒さは姿を消し、春の足音がもうそこまで聞こえていた。

 

汗がすうっと引いていくのを感じながら、僕は何か心地よい達成感を感じたのだった。

 

 

 

 

 

と意味不明な検証をいい感じに締めくくろうとしましたがさすがに無理がありますね。

 

ちなみにケニアの民族はこうやってトイレするらしいです。

 

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意味分かんねえ!

 

 

(完)

 

 

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それではみなさん素敵な1日を。

 

 

 

 

 

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