先日【日本人全員が財務諸表を読める世界を創る】をテーマに活動されている「大手町のランダムウォーカー」さんの学生向けの勉強会に参加してきました。
1. 大手町のランダムウォーカーとは
大手町のランダムウォーカーさんはTwitterやインスタで会計クイズを出題し、会計の知識ゼロでも楽しめる情報発信をしている現役の会計士の方です。
【最近 #会計クイズ を知りました!
という方向け】インスタに財務3表の基本的な説明を載せています!
「財務諸表読むのに自信がない」という方は、まずはここからみてみてくださいー(^^)
リンク
↓https://t.co/1qBmzB8oSh pic.twitter.com/4GZ57Lc8RW— 大手町のランダムウォーカー (@OTE_WALK) October 8, 2019
Twitterのフォロワー数も一瞬で2万人を超え、絶大な人気を誇っています。
僕自身就活生ということもあり、ブログやYouTubeでIR資料の解説をしていたのですが、やはり数字だらけの財務諸表は読みにくく、そもそも言葉の意味もあやふやといった状況でした。
そんなある日、大手町のランダムウォーカーさんが学生向けにイベントをやるということで「これは行くしかない」と参加してきたわけです。
ちなみに「大手町のランダムウォーカー」という名前は株式投資のバイブルとして有名な「ウォール街のランダムウォーカー」という本からきていると思われます。「ウォール街のランダムウォーカー」は全世界で読まれている「投資のバイブル」で1973年の初版以来、全米累計150万部を超え、「投資の名著」として絶賛されるベスト&ロングセラーです。図や表が多く使われており初心者でも分かりやすく、改訂のたびに新しい情報が加わり、仮想通貨の話題も載っているので読んでみると面白いです。
2. 学んだこと「財務諸表っておもしれえ!けど...」
イベント会場は50名を超える学生でいっぱいでした。すごいっ!
早速大手町のランダムウォーカーさんが登場し、ゆるい雰囲気で勉強会が始まります。
(ちなみに大手町さんは現役の会計士で、これだけ聞くと超エリートかと思われますが、経歴がめっちゃ面白いです。会計士になるまでの紆余曲折が本当に曲がりくねっています。ぜひ勉強会に参加して聞いてみてくださいっ!)
学んだこと全て書くと本一冊できてしまうくらい中身の濃い勉強会だったので、特に大事な部分を抜粋していきます。
1. 財務諸表の種類と単語を知ろう
偉そうにブログでIR資料を解説している僕ですが、バリバリの理系で体系立てて会計を学んことはなく、財務諸表と聞いても何も分かりません。財務諸表には主に3種類あるそうです。
貸借対照表(BS:Balance Sheet)
損益計算書(PL:Profit and Loss statement)
キャッシュフロー計算書(CF:Cash Flow statement)
以上3つです。勉強会ではこの3つのうち、BSとPLをメインに学びました。
まず貸借対照表について。
大手町さんのインスタの投稿写真を引用させていただきます。
こんな感じで会社の財産の状態と、資金の調達と運用の状態を表すのが貸借対照表です。
流動資産
→短期でで資金を回収できるもの「現金」「売掛金」「商品」
固定資産
→長期で資金を回収できるもの「建物」「車」
流動負債
→短期で返済予定のもの「買掛金」「短期借入金」
固定負債
→長期で返済予定のもの「社債」「長期借入金」
を表します。
純資産は「資本金」や「利益剰余金」(簡単に言えば利益)を表します。返さなくていいお金のことですね。
同様に損益計算書の方も見ていきます。
こちらは単語が多いので完結に済ますと、右の図の青い部分は「収益項目」です。
何で利益が出たかってことですね。
赤い部分は「費用・損失項目」です。
そして当然のことながら「収益」-「費用」=「利益」なので、残りの緑が利益になります。
ただ費用の方が利益より大きければ赤字、つまり損失になります。
これが貸借対照表と損益計算書の概要です。
2. 会計クイズの形に落としこもう
「そんじゃあ基礎知識分かったところで財務諸表読んでみっか〜」と企業の実際のデータを開いてみると、ちんぷんかんぷんです。
なんでかっていうと、実際の企業の財務諸表はこんな感じで数字ばっかり。つまんねえ。
こちらは伊藤忠商事の連結損益計算書でエクセルデータでダウンロードできます。
これだけ見ても何が何だか。頭痛くなってきた。
そこで大手町のランダムウォーカーさんの出番です。
大手町さんはこんな感じで会計クイズを出しています。
【#会計クイズ 問題】
鉄道会社3社比較!
JR東海の連結損益計算書はどれ?〈登場企業〉
①山手線や東海道線を有する首都圏のインフラJR東日本
②東海道新幹線を有するJR東海
③渋谷の地主、東急ストアや東急不動産など多角化が進む東急電鉄
今週もよろしくお願いします(^^) pic.twitter.com/FnZ6zoFF54
— 大手町のランダムウォーカー (@OTE_WALK) October 6, 2019
選択肢にある損益計算書、とっても見やすいですよね。
そう。これと同じようにしちゃえばいいんです。
先ほど紹介した伊藤忠の資料は分かりやすく資産や負債の合計が書いてあったので、自分で可視化して見ました。
じゃん。
確かにこうするとスッキリします。
大手町さんの会計クイズはこんな感じに簡単に可視化した資料を元に、どれがどの会社の財務諸表でしょうかー!というクイズです。
3. 完全に財務諸表を読み解くためには...
勉強会ではこんな感じでひたすら会計クイズを解きましたが、めっちゃむずい。
例えばコメダ珈琲について。
Twitterですでに出題されていたのでこちらをご覧ください。
【#会計クイズ 問題】
くしかつ田中の問題です
フランチャイズ展開をしている3社のうちくしかつ田中HDの連結損益計算書はどれでしょう?登場企業
・セブンイレブン(コンビニ単体)
・コメダHD(コーヒーチェーン
・くしかつ田中HD最近イベントで出題した問題ですが
今週もよろしくお願いします pic.twitter.com/A9xpBr5v2G— 大手町のランダムウォーカー (@OTE_WALK) June 30, 2019
こちらの投稿では「串カツ田中」がどれか当てる問題になっています。
ちなみに3つのうちどれもがフランチャイズ展開していて、コメダ珈琲に関してはほぼ全てがフランチャイズというヒントが与えられています。
勉強会では「フランチャイズは販管費が少額になる」と学びました。
店舗の運営を加盟店のオーナーに任せるからです。
というわけで上記の選択肢でコメダ珈琲は①になるのですが、問題はそれで正解したとしてもビジネスモデル本体はまだ分からないってことなんです。
実はコメダ珈琲はほぼ全店がフランチャイズなのですが、コーヒーを仕入れてフランチャイズに売ることで利益を出しているんです。
つまりフランチャイズがいくら儲けても利益はほとんど上がらないんですね。つまりコメダ珈琲はコーヒーを仕入れてコーヒーを売る店に売って利益を出しているんです。
この知識は実際にコメダ珈琲のビジネスモデルを知らないと見えてきません。他にもユニクロやZARAや、ダイソーの財務諸表のクイズもありましたが、僕らがなんとなく知ってる知識と実際のビジネスモデルには乖離があります。
単語や基礎知識を知って、財務諸表っておもしれえ!と感じましたが、実際のビジネスモデルを知らないと会計クイズを解くのは難しいなあと感じました。
僕自身、就活生は企業が何をやってどう稼いでいるのか知った方が理解が深まると思い、IR資料の解説をしているのですが、資料を見て初めて「この会社はこんなことしてるんだ!」という発見がありました。
今後も解説を続けて財務諸表も読み解けるように継続していきます。
3. イベント運営側としての感想
勉強会として最高に学びのある会でしたが、普段イベントを開催している立場からしても非常に勉強になりました。
まず大手町さんのスライドの分かりやすさとテンポのいい話し方。そして何より楽しそうに話している姿。
参加してる皆さんも2時間集中してリラックスしながら楽しめていました。
僕も見習いたいです。
ぜひ大手町さんのTwitter、インスタをフォローして財務諸表について学んでみてください!
<IR資料解説シリーズはこちらから>
Twitterでお話ししてるように僕自身が就活をするということもあり、この記事を皮切りに自分なりにIR資料を読み解いて企業分析をしようと思う。記念すべき第一回は、前回の記事で取り上げたメルペイを始めたメルカリ。[si[…]
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